都知事選出馬の蓮舫の事業仕分けはなぜ大失敗したのか…日本独自の稚拙な代物で他国ではありえない「旧民主党では懲罰的なショー」となった
東京都知事選挙に参議院議員の蓮舫氏が立候補を表明した。蓮舫氏を巡っては2022年の参議院選挙の東京選挙区(改選6)にて、67万票を獲得。朝日健太郎氏(自民党)92万票、竹谷とし子氏(公明党)74万票、山添拓氏(共産党)68万票につぎ、4位だった。蓮舫氏が2010年には約171万票獲得したことを考えると得票力は大幅に落ちている。さらにいえば、前回の都知事選で小池百合子都知事は360万票を獲得している。この選挙に勝ち目はあるのか。仮に蓮舫都知事が誕生した場合何が起きるのか。。永田町関係者は「恐ろしいぐらいに他人の批判しかしてない」と分析するが……。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏が解説する。第2回ーー。
パフォーマンス重視の懲罰的なメディアショーとして事業仕分けは失敗した
蓮舫議員は都知事選挙の出馬記者会見で「一般会計だけで8.5兆円の全ての事業に対して行革の本気度を示す」と語った。 蓮舫議員と行政改革と言えば「2位じゃダメなんでしょうか」で有名となった民主党政権時代の事業仕分けである。筆者は民主党政権による行政改革に大いに期待した一人であったが、民主党が実施した事業仕分けを見て大いにズッコケた一人でもある。 民主党時代の事業仕分けは失敗した。旧民主党はパフォーマンス重視の懲罰的なメディアショーとして、中央省庁に対する事業仕分けによる政策評価を利用した。そのやり方は極めて杜撰であったため、結果として既得権と結びついた中央省庁とメディアが「切られる側」の御涙頂戴パフォーマンスをやり返し、せっかくの行政改革の流れがとん挫してしまった。
日本版事業仕分けは日本独自の稚拙な代物で他国では存在しないものだった
このような政策評価の仕組みは、諸外国において「政策の費用対効果」について客観的に評価・見直しをするための手法として取り入れられたものだ。しかし、日本で「政策評価」の手法として有名になった「事業仕分け」は日本独自の稚拙な代物で他国では存在しないものだった。 当時、欧米先進国で実施されていた政策評価のレベルが非常に高いものであった。日本政府の指標作成、政策の専門性、統計分析力などは諸外国に遠く及ばないものであった。そのため、日本の中央省庁の能力では同様の政策評価を実行することが難しかった。このような能力差は現在でも圧倒的なものであり、依然として日本政府の政策評価は途上国レ並みのものでしかない。 中央省庁での本格的な政策評価の導入はほぼ不可能であったため、地方自治体が独自に先行して政策評価の手法を取り入れることになった。その際に、小規模自治体用に極限まで簡素化した政策評価の手法が「事業仕分け」であった。 事業仕分けは、地方自治体が有識者・住民を集めて地方自治体の事業について、簡素な資料とヒアリングを用いて、その継続可否や改善提案のコメントを残す、というものであった。
渡瀬 裕哉