静寂の中、言葉を使わず「対話」…〝照れくささ〟を超えて感じたこと ダイアログ・イン・サイレンス
「ダイアログ・イン・サイレンス」というイベントをご存じでしょうか? 音が聞こえない状態で、言葉に頼らない「対話」を楽しむ新しいタイプの体験型ソーシャル・エンターテインメントです。現在、愛をテーマにした新作「ラブ・イン・サイレンス」が開催されています。いったいどんな体験が待っているのでしょうか?(朝日新聞社メディア事業本部・山内浩司) 【画像】耳が聞こえない私から「逃げなかった」ママ友 偶然の出会いに得た縁
言葉はNG~ヘッドセットをつけて静寂の世界へ出発
会場は東京・竹芝にあるダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」です。 まずは入り口で手荷物を預けます。腕時計やスマホなど音が出るもの、情報機器もすべてロッカーへ。 ここからは「声は手話も“お休み”です」と説明を受け、ずしりと重いヘッドセットを渡されます。 装着するとまったくの無音というわけではありませんが、ほぼ音は聞こえません。ここから、約90分間にわたる「静寂の世界」への旅が始まります。 <ダイアログ・イン・サイレンスとは:1998年にドイツで始まり、以後フランス、イスラエル、メキシコ、トルコ、中国などでも開催。これまでに世界で100万人以上が体験しており、日本では2017年に初開催されて以来、約1.9万人が参加した> これから楽しむ人へのネタバレになってしまうので詳細は控えますが、体験会に参加した感想と共にその一部をご紹介します。 参加者はチームを組んで、聴覚障害のあるアテンドスタッフの案内で、いくつかの部屋を周りながら、ゲームやミッションを通して「LOVE」を探していくという趣向です。 「顔のギャラリー」の部屋では、顔のパーツをいろいろ動かして表情で気持ちを伝えることにチャレンジします。 アテンドの表情をまねていきますが、いやいや、眉だけそんなに器用に動かせませんって! ふだん自分が顔の筋肉をどれだけ使っていないか、表情が乏しいか実感できます。 ほかにも、手のかたちで影絵を作り動かしてみるコーナーや、ジェスチャーだけで、与えられたお題を相手に伝えるゲームなど盛りだくさん。 最初は遠慮がちだった参加者のみなさんも、だんだん表情が豊かになり、身ぶりや手ぶりも使ったリアクションどんどん大きくなっていくのが印象的でした。 言葉を使わなくても、伝えられることはいろいろとあるのだなと気づきます。こういう体験を重ねると、言葉が通じない海外の方とのコミュニケーションにも役立ちそうです。