天の川、水平線に沖縄本島の灯り…。粟国島でないと見られない光景の数々
沖縄本島の那覇から北西に約60kmの海上に位置する粟国(あぐに)島。周囲約12kmの島に、約700人が暮らす一島一村の小さな島である。沖縄本島の周りにはリゾート開発が進む島が多い中、沖縄では珍しく起伏に富んだ海岸線と自然、沖縄古来の原風景が残る。那覇泊港からフェリーで2時間あまり、瑠璃色の海に見えてきた粟国島を訪ねた。
2012年11月、沖縄県の鳥獣保護区に、また、島の一部が特別保護区に指定された粟国島は、東南アジアから飛来する野鳥の中継地になっている。その種類の多さに、調査に来た専門家も驚いて帰ったという。豪華なリゾートホテルもなく、村には数軒の民宿があるだけだが、粟国島をよく知っているダイバーや野鳥愛好家が毎年多く訪れる。 夜、集落を離れ少し海沿いに出てみた。周りには街灯もなく、空には天の川もはっきりわかる星空が広がっていた。
島にはコンビニだけでなく、本屋、クリーニング屋もない。都市部では当たり前に揃っている環境だが、それが無くてもここでないと見られない光景があった。 島では同じ苗字の人も多く、下の名前で呼ぶことも多いらしい。それがまたより親しいコミュニティを作ることになっているのかもしれない。髪型が少しさっぱりしただけで、「那覇に行ってきたの」と声を掛けられる、そんな粟国島の暮らしがなんだかあたたかく羨ましく思えてきた。 ※この記事はTHE PAGEの写真家・倉谷清文さんの「フォト・ジャーナル<島の大自然がおもてなし沖縄・粟国島>倉谷清文第12回」の一部を抜粋しました。 (2018年8月撮影・文:倉谷清文)