山梨学院が2年ぶり10度目の選手権へ! 骨折離脱の主将のために…チーム一丸の結束で東海大甲府との接戦制す
[11.9 選手権山梨県予選決勝 山梨学院高 2-1 東海大甲府高 JITス] 第103回全国高校サッカー選手権山梨県予選は9日、JITリサイクルインクスタジアムで決勝を行った。山梨学院高が39大会ぶりの全国を目指す東海大甲府高を2-1で破り、2年ぶり10度目の選手権出場を決めた。 【写真】「全然違う」「びびるくらいに…」久保建英の9年前と現在の比較写真に反響 準決勝を後半アディショナルタイムの劇的大逆転で勝ち上がった山梨学院は、それぞれ得点を決めたMF速水仁(3年)とFW関塚力登(3年)を先発起用。4-4-2の布陣で、GKは板倉一心(2年)、4バックは左からDF小柳堅也(3年)、DF西澤隼斗(2年)、副キャプテンDF志村晃(3年)、副キャプテンDF鈴木琉斗(3年)。2ボランチはMF山田琉翔(2年)と、骨折で離脱したキャプテン山田逞人から腕章を託された副キャプテンMF根岸真(3年)。SHは左が速水、右がMF関口翔吾(3年)。2トップはFWオノボフランシス日華(2年)と関塚が並んだ。 今年度から就任した大石奨悟監督(30)が指揮を執る東海大甲府は、1984、85年大会以来となる3度目の選手権を目指す。4-4-2の布陣で、準決勝から先発変更はなし。GKはキャプテン田川直樹(3年)、4バックは左からDF澤田湘太郎(3年)、DF齋藤功弐(3年)、DF千野輝羅(3年)、DF秋山愛翔(3年)。2ボランチはMF頼金拓哉(2年)とMF白須翔(3年)。SHは左がMF千葉蒼太、右がMF中根星海(3年)。2トップは準決勝でゴールを決めたFW水越成皇(3年)と攻撃の要・FW勝見周也(2年)が立った。 序盤は東海大甲府が水越のCKやロングスローで山梨学院に迫る。前半12分には左CKを細かくデザインした形でリスタート。水越がニアサイドに蹴ったところからつなぎ、PA左のポケットに入った水越がパスを収めてシュートを打ち切る。だが、惜しくもゴール枠外に外れた。 前線2トップがボールを収め、両サイドからドリブル突破で局面を打開する山梨学院は、前半15分に均衡を破る。左サイドに収まったところで、根岸が大外から突破を図る。深い位置から折り返したボールは相手選手に当たってこぼれると、そこに詰めたのはオノボ。利き足とは逆の左足を振り抜き、今大会初得点をゴール右に突き刺した。 前半は山梨学院のペースが続き、そのまま1-0のリードで折り返した。ハーフタイムには交代カードを1枚切り、山田琉に代えてMF高見啓太(2年)が入った。 後半3分、東海大甲府が意地の同点ゴールを決める。GK田川のロングフィードを中根が頭で逸らして前線へ。胸で収めた水越がすかさずPA内にスルーパスを通す。反応した勝見が渾身の右足シュートをゴール左隅に決め切り、1-1と試合を振り出しに戻した。 両チームは交代カードで試合を整えていく。山梨学院は後半11分に速水を下げ、MF阿部海翔(3年)を、15分には先制点を挙げたオノボに代えてFW柏木勇飛(3年)が入る。21分にはさらに2枚替えをし、足を攣った根岸や関塚に代えて、MF向口碧人(3年)と今大会でチーム最多4得点のFW小河原瑛太(3年)がピッチへ。東海大甲府も22分に2枚替え。千葉と同点ゴールの勝見が下がり、FW澤藤虎太朗(2年)とDF植田聖天(1年)が入った。 交代策が的中したのは山梨学院だった。後半28分、右サイドのスローインは一度右サイドに跳ね返されるが、こぼれていったところを鈴木がダイレクトで大きくクロス。途中出場の小河原がヘディングシュートでゴールに叩き込んだ。 再び勝ち越された東海大甲府は、終盤にかけて水越を中心にチャンスを量産する。だが、山梨学院GK板倉の好セーブにゴールを阻まれた。山梨学院がそのまま逃げ切り、2-1で夏のインターハイに続く冬の全国出場権も手にした。 山梨学院は今大会中に大きなアクシデントに見舞われていた。キャプテンの山田逞が10月19日の3回戦・青洲戦当日の午前練習中に第5中足骨を骨折。「なんでここまで来て、こんな怪我をしないといけないんだろうと」(山田逞)。思わぬアクシデントでチームはさらに結束。年末までには回復の見込みがあるキャプテンのためにも「全国に行く」と一丸となった。 岩永将監督は、チームを支えた山田逞、そして主将のために奮闘した選手たちに目を細める。「怪我した当日は悔しそうにしていた。だが、次の日からめちゃくちゃ明るく、チームのためにがんばっていた。キャプテンさすがだなと」。主将不在で副キャプテンの根岸、鈴木、志村がチームを支えた。先発で腕章を巻いた根岸がピッチを去ると、鈴木が着用。「3人の誰がキャプテンマークを巻いても大丈夫」(岩永監督)。途中出場の小河原がゴールを決めると、ゴールを約束していた山田逞のもとへ一直線。「有言実行できたのでよかった」(小河原)。互いのために支え合った山梨学院が10度目の県制覇を成し遂げた。 夏のインターハイにも出場したが、山梨学院は国見高に敗れて2回戦敗退。再び全国に向かう上で岩永監督は「チームとしての戦術を落とし込む度合いは高まっている」と成長を実感する。「それぞれがポジショニングをしっかり取ること。コンビネーションで阿吽の呼吸で、というところはちょっとずつ出ている。全国でも強みにして、自分たちの形で点を取るというところが出せれば」。約2か月の準備期間の中で、指揮官が求めるのはメンバー外の選手たちの底上げ。「これからまた登録まで時間がある。その時間で競争していこうと言おうと思っている」。4年前に果たした日本一を再び取るべく、さらなるチーム力向上を狙う。