【#みんなのギモン】“動物虐待”か? 炎上する伝統行事 当事者の本音は…
■「牛が輝く場所」 愛情をかけた牛を闘わせるワケ
動物同士を闘わせることもこれまで問題視され、闘犬や闘鶏などの多くが姿を消していく中、新潟県小千谷市では、約400年の伝統を持つとされる行事「牛の角突き」が動物愛護に配慮しながら存続しています。牛がぶつかり合う闘牛の一種です。 「牛は家族の一員」。そう話すのは小千谷市の篠田隼人さん(30)。家で飼っているのは9歳になる牡牛、名は金龍です。金龍は年に7回ある「牛の角突き」に出場しています。 「東京の大学を中退して小千谷に戻ってきた時、町の人から牛を飼ってみたらどうかと勧められたんです」 錦鯉の養殖が本業の篠田さんですが、朝7時と夜7時に金龍にエサを与え、牛舎を掃除し、近所に散歩にも連れ出します。町では同じように牛を散歩させる人と打ち解けます。牛とともにある暮らしは6年以上続いています。愛情をかけた牛を闘わせるのはどういう意味があるのでしょうか? 「輝く場所です。生命を感じる時です。牛同士がぶつかり合うので生半可なものではありませんよ。牛が嫌がるそぶりはありません。嫌がったらわかります」 「一方がひとつ攻めたら他方も盛り返して引き分け、それが角突きです。角があたればどうしてもかすり傷はありますが、牛もアドレナリンが出ています」
中には優しい性格の牛もいて、そうした牛は出場させないといいます。さらに近年、会場に獣医師を常駐させ、牛が負傷した際の適切な保護ができるようにしました。篠田さんは、誰もが楽しめるのが「角突き」だと言います。 「角突きは夏の小千谷を盛り上げてくれるものです。強くなったなあ、とか、惜しかったなあとか、いろんな人がいろんな目線で見てくれるんです。業界の中だけというのでなく、子供たちも観光で来てくれる人も、誰もが応援してくれるのが嬉しいんです」 動物同士を闘わせることの是非が問われていることを篠田さんに尋ねると…。 「あまり耳にしたくないというか…、牛を闘わせている1点だけを見て否定されても困るんです。私が牛を飼っている過程も含めてすべて見てほしいです」