G7サミット、中国の過剰生産問題に懸念表明へ 対中圧力で結束
【ファサーノ(イタリア南部)=板東和正】イタリア南部プーリア州で開催中の先進7カ国首脳会議(G7サミット)は14日、過剰生産された電気自動車(EV)などの中国製品が海外に安価で輸出される問題を討議する。過剰生産問題を経済安全保障上の課題と位置づけ、懸念を表明する見通しだ。中国が東・南シナ海や台湾海峡で軍事的圧力を強めていることを踏まえ、インド太平洋地域の安全保障についても協議し、G7が結束して中国への圧力を強める。 G7首脳は14日の2日目の討議で、安価な中国製のEVや太陽光パネルなどが世界中に輸出されているため、各国で価格競争が加速している現状を共有。中国が巨額の補助金を特定の企業に拠出し、生産能力を過剰に高めている問題について対応を打ち出す方針だ。 インド太平洋地域をめぐる討議では、岸田文雄首相がアジアで唯一のG7メンバーとして中国の一方的な海洋進出や北朝鮮の問題を提起し、各国にインド太平洋への関与を改めて促す構え。 これに加え、人工知能(AI)がもたらす人権や倫理への影響や、欧米で急増する移民をめぐる問題なども協議する。 G7首脳は13日、ロシアによるウクライナ侵略を巡る初日の討議で、制裁で凍結した露資産を活用して少なくとも500億ドル(約7兆8000億円)をウクライナへ支援する方針で合意した。年内にウクライナへ譲渡される見込み。ロシアが侵略で生じた被害の賠償を行うまで資産凍結を続けることでも一致した。米高官によると、ウクライナへの支援金は軍事、政府予算、人道支援、復興などに充てられる。