刀剣文化を守りつなぐ 高森町歴史民俗資料館で武田耕雲斎の刀など企画展【長野県】
長野県高森町の町歴史民俗資料館で6月9日まで、企画展「刀剣が語る幕末の歴史」が開かれている。水戸浪士「天狗党」の隊長武田耕雲斎をはじめ、新選組初代局長芹沢鴨、副長土方歳三、天狗党と戦った高島藩伝来の刀などが展示され、飯田下伊那地域とも縁のある刀剣を通じ、文化や歴史を伝える。 松本市の刀剣コレクター佐藤肇祐さん(49)が所有者から、阿智村清内路に「武田耕雲斎が宿泊したお礼として置いていった刀がある」との連絡を受けたことをきっかけに企画がスタートした。 佐藤さんは、町に道場を構える空手道禅道会を通じて同資料館を知り、耕雲斎の刀の所有者の協力を得て、自身が所有する刀剣と合わせた展示を同館に打診。天狗党が京を目指して伊那谷を通過し、今年が160年の節目に当たることから、同館は「幕末関連の刀剣を集めることで、その時代の地域を学ぶ機会になれば」と応じた。耕雲斎の刀の展示は今回が初となる。 こうした企画に飯田下伊那地域の刀剣コレクターも呼応。飯田市座光寺の井村博久さん(76)は「近年は、地域に縁のある刀剣がどんどん外に出ていってしまっている。展示を通じ、刀剣の魅力や価値、歴史的背景など多くの人に理解を深めてもらう機会になれば」と、所蔵する刀剣を提供した。 19日に行われた両氏による展示説明会には多くの来館者があり、同館の塩澤元広館長は「展示のスタートから多くの人に来ていただいている。刀剣に対する関心の高さをあらためて感じた」と話した。 「刀剣は、日本では『怖い』など負のイメージが強く、製造における技術力や美術品としての価値などで国内よりも海外で高い評価を得ている」と指摘する佐藤さん。「歴史とともに次世代につないでいくためにも、子どもたちに知ってもらいながら価値を見直す必要がある。一過性で終わらせるのではなく、継続的に紹介していけたら」と力を込めた。 開館時間は午前9時~午後4時半。月曜休館。入館料は大人200円、小中高校生100円(町内居住者は無料)。問い合わせは同館(電話0265・35・7083)へ。