今、人口減少が止まらない青森県。2024年1月1日現在の県内の人口は118万672人で、前の年に比べて2万人近く減少しました。その減少率は全国2位。 この現状を打開するカギの一つに大学生の存在があります。 「出身が青森県つがる市、就職先が東京都です」 2024年3月、青森県内の大学などを卒業した学生のうち6割以上が県外に就職していて、この5年間で最も多くなりました。 朝日新聞社が実施した東北ブロックの世論調査によりますと、今回の衆院選について、「大いに関心がある」「少しは関心がある」と答えたのは50代から70代以上はおよそ8割ですが、18歳から29歳は、4割を超える人が「関心がない」としました。 【大学生】 「関心がないというよりは、若者が投票しない原因というのは、自分のたった一票で大きく変わることがないと思っているから選挙にも行かないのだろうし、そもそも目を向けないのが実態かなと思います」 青森公立大学の学生に聞きました。 （Q.投票に行きますか）「はい、行こうと思っています」 「行きます」 「行きます」 「毎年家族と行っているので、今年も投票しに行きます」 就職活動を終えた4年生たちが政治に関心を持つ背景には、青森の課題に対する問題意識がありました。 【青森県外へ就職（八戸市出身）　小泉拓也さん】 「就職・進学の選択肢の少なさが課題かなと考えています」 「私の周りでも、進学や就職といったタイミングで県外に出てしまう人も多く、そういう選択肢が少ないからなのかなと」 【青森県内で就職（青森市出身）　小田怜美さん】 「若者の県外流出です」 「どうにかして食い止めるのが、未来の青森のためにもつながりますし、それが大事なのかなと考えています」 卒業のタイミングで人生の選択を迫られる大学生。 【青森県内で就職（青森市出身）　大川想乃子さん】 「本当はやりたいことがあったけれど、年収の安定などを求めて公務員などを選ぶ友達もいたので、一人ひとりのキャリアプランなどにも、年収や賃金は大きく関わってくるのかなと思いました」 【青森県外へ就職（八戸市出身）　小泉拓也さん】 「公務員という職業一つとっても、県内と県外では賃金の差も大きいというのを感じている所はあります」 2023年度の賃金の全国平均31万8300円に対し、青森県は6万8千円余り低い24万9900円。全国最下位です。 【青森県外へ就職（つがる市出身）　田中龍哉さん】 「青森は大好きだけど、やっぱりどうしてもお金とか、キャリアの部分で出なきゃいけないというのがあったので、県外就職という選択をしました」 また、賃金への不安は結婚にも。青森県の調査によると、結婚していない理由について「適当な相手がいない」に次いで、「経済的に余裕がないから」を理由に挙げています。 【青森県内で就職（青森市出身）　大川想乃子さん】 「自分がいざ結婚して、子どもを産むとなると、今みたいに貯蓄できないとかは言い訳にならないので、そのあたりの不安は大きいです」 一方で、学生たちは青森県に魅力を感じていないわけではありません。 【青森県外へ就職（八戸市出身）　小泉拓也さん】 「青森いろんな魅力があって、夏はねぶた祭だったり、冬はスキーだったりで、県外からもたくさんいろんな方が来ると思うのですけれども、そういう人を関係人口から定住人口に移していくと、青森はもっと活性化できるのかなと考えています」 【青森県外へ就職（つがる市出身）　田中龍哉さん】 「良いものはめちゃくちゃそろっていると思います。青森という魅力をどうやって県外に、あるいは海外に発信するかみたいなところも考えれば、青森県内で魅力を再確認するだけではなくて、県外の人たちに『青森っていいじゃん』と思わせることができるかなと思います」 学生たちが考える、「青森に求められる政治家」とは。 【青森県内で就職（青森市出身）　大川想乃子さん】 「これからの青森の発展を支えていく大きな力は若者だと思っているので、その若者の意見を聞いて政治に反映させることはすごく大事なことだと思うし、今後の青森の大きな変化につながると思っているので、そういう政治家さんを支持したいと考えています」 【青森県外へ就職（つがる市出身）　田中龍哉さん】 「これって青森だけの課題じゃなくて、東京や都市に人が密集したとしても、それでも日本自体の人口ってちょっとずつ減っているというのがあるので、他の県の自治体や議員さんも同じ課題を持っていると思うので、そういった意味では、その場に代表する国会議員を私たちも投票して応援できればなと思っています」 前回2021年の衆院選の投票率をみますと、弘前市、十和田市など4市町村の調査では、全体54.36％に対して、20代の投票率はいずれも30％台でした。 一方で、2024年に始まったこのようなサービスをご存じでしょうか。 衆院選について20の質問に答えると、各政党や政策とのマッチング度が分かる選挙ドットコムの「投票マッチング」。 利用者数58万のうち、6割以上が18歳から30代となっています。 未来を支える若い人たちにも、この衆院選が選挙や政治について考えてもらう機会となり、その声を届けてほしいと思います。