猛暑が影響「ハチ」減少で農産物ピンチ 絶滅危惧…食料危機につながる恐れも
日テレNEWS
おいしいハチミツを作ってくれる「ハチ」。実は、ハチミツを作ってくれる他にも、農産物など、私たちの生活にとって重要な役割を果たしています。しかし今、地球温暖化などにより、ハチが危機に陥っているといいます。どんな異変が起きているのか…養蜂場や農園を取材しました。 ◇ 暑かった夏の影響は養蜂場にも及んでいます。 長野・上田市にある養蜂場では、約80万匹のミツバチがハチミツを作っています。 ミツバチはおいしいハチミツを作ってくれる他にも、私たちの生活にとって重要な役割を果たしてくれているのです。 はけた養蜂場 内山力斗さん 「イチゴ農家やリンゴ農家にハチを持って行って、ハチがイチゴを育てる花粉交配をしてくれる役割になります」 実は、ミツバチを農家へ貸し出していて、花を受粉させる役割を担っているのです。 国連の機関によると、リンゴやトマト、タマネギ、カボチャなど私たちが口にする多くの農産物の約7割をミツバチなどが受粉させているといいます。 しかし今、そんなハチたちに異変が起きています。先週、私たちは群馬・伊勢崎市にあるトマト農園を取材しました。 はた農園 畑裕樹さん 「受粉用のハチを入れて、トマトの花を受粉してもらいます」 ミツバチの一種、マルハナバチの巣箱が入れられていました。しかし、ハウス内を見渡してもハチが飛んでいる様子はありません。 はた農園 畑裕樹さん 「暑い関係もあるので、ハチの動きは鈍いです」 その原因は、長く続いた猛暑です。専門家によると、マルハナバチは暑さに弱く、猛暑が続くと巣の外で活動できなくなり最終的には死んでしまうのだといいます。 ハチの手を借りることができなかったため、受粉は手作業で行っていました。 ◇ ハチの生態に詳しい専門家は、実は今、ハチの減少が世界的な問題となっていると警鐘をならします。 京都産業大学・生命科学部 高橋純一准教授 「2005年ぐらいから、世界各地でミツバチが減少していると報告されています」 ミツバチもマルハナバチも、2050年ごろまでに絶滅してしまう可能性が危惧されているのです。 京都産業大学・生命科学部 高橋純一准教授 「こういった昆虫類が減少してしまうと、農作物の生産、我々の食料生産にも大きな影響を与える」 受粉を担うハチがいなくなってしまうことで作物が育たず、食料危機に陥る可能性すらあるといいます。 ◇ そのハチが危機に陥っている理由の1つが、地球温暖化です。 はけた養蜂場 内山力斗さん 「この時期になると秋の蜜が入るんですけど、今年は秋の蜜が入ってないです」 養蜂場では、長く続いた猛暑もあり、この時期咲いているはずの秋の花が枯れ、ハチの餌となる花の蜜が不足する事態に陥っていました。 さらに頭を悩ませていたのが、ハチの天敵「ダニ」です。 はけた養蜂場 内山力斗さん 「暑すぎて、ダニですね。ハチについているダニが多くなっちゃう。その分、ハチの数が落ちちゃう、これが一番の問題」 今、温暖化などの気候変動によって1年を通してダニが繁殖しやすくなり、ミツバチに寄生する被害が増えているのです。 内山さんは毎日、見回りが欠かせないといいます。 はけた養蜂場 内山力斗さん 「ハチが減ってしまうとですね、僕たちも来年困りますし、農家さんに配るはずの花粉交配のハチがいなくなっちゃうので」 意外な形で私たちの食卓を陰で支えてくれているハチ。ハチの生きる環境を守れるよう、私たちも考え、行動する必要がありそうです。