安田顕、“おじさん請負人”としての華麗な仕事ぶり 長年のキャリアで築いた芝居の引き出し
『未来への10カウント』ではイケオジっぷりを炸裂した安田顕
『未来への10カウント』(テレビ朝日系)や『セクシー田中さん』(日本テレビ系)では人生経験が豊富そうな色気を漂わせ、イケオジっぷりを炸裂。『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(TBS系)では男手一つで育ててきた娘の妊娠に戸惑いつつも、その身を心から案じる不器用な父親を好演し、視聴者の涙を誘うなど、この人に演じられないおじさんはいないんじゃないかと思うほどに演技のストライクゾーンが広い。 直近でいえば、『大奥』(フジテレビ系)での怪演ぶりも凄まじかった。安田が演じたのは、江戸時代中期に幕政を主導した田沼意次。第10代将軍・家治(亀梨和也)の弱みに漬け込み、実権を握る悪代官だが、その根底に政を司るものとしての矜恃と正義がある憎みきれない役柄だった。田沼意次が憑依したとしか思えない場面は多々あったが、炎に包まれた大奥で自害を遂げるラストシーンは一生忘れられないくらいの迫力だ。腹に刀を突き刺した瞬間、充血した目をかっぴらき、鼻水を垂らしながらしゃがれた声で最期の言葉を呟く。「もしかして本当に刀を差してるのでは?」というありえない考えが頭をよぎるほどのリアリティがそこにはあった。 4月13日には、安田が物腰の柔らかい小児科医・植野元を演じた『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系)のスペシャルドラマも放送される。優しいだけではなく、医師としての熱い気持ちを持ったこの役も安田にぴったりだった。もはや“おじさん請負人”と言えるくらいの役柄を網羅している安田顕。さすがに彼でも演じられないだろうと思うおじさんがいたら逆に教えて欲しいくらいだ。
苫とり子