奥まった路地にある長屋を見事に再生! そこから発信される「新しい奈良の食文化」とは
コロカルニュース
■奥まった路地にある長屋を再生新しい奈良の食文化発信地へ 奈良県橿原市の中部にある、今井町。国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定され、江戸時代の風情が今も色濃く残ります。多くの古民家が立ち並び、散策にもぴったりのエリアです。このまちを南に歩き進めた奥にある、築約150年の長屋を改修・再生。4つの店舗からなる食の複合施設〈narawashi nagaya(ならわしながや)〉が2024年6月1日にオープンしました。 【写真で見る】伝統的な長屋の趣を大切にしながら、約半年かけて改修した〈narawashi nagaya〉。 手がけたのは、文化財や古民家を守って生かすまちづくりを行う〈株式会社narrative〉。地域に眠る古民家と食を融合させて新たな食の物語を紡ぐ「narrative gastronomyプロジェクト」のひとつです。長年空き家となっていたため屋内に木が生えているほど傷みが激しかったという長屋を全面改修し、生まれ変わらせました。代表の大久保泰佑さんは「生産者と消費者が食を通して直接つながる場に。新しい奈良の食文化を伝えていきたい」といいます。 ■奈良食材を生かしたデザートをコース仕立てで堪能する特別な時間 店舗のひとつ〈dulce communico(ドゥルケ コムニコ)〉は、ミシュラン1つ星を獲得したシェフ・堀田大樹さん監修のデザート専門店。奈良県内の生産者を巡って集めた食材をふんだんに使ったデザートをコース仕立てで味わえます。 使用するのは「古都華」や「大和橘」といった奈良のフルーツや大和野菜、県内の牧場から届いた牛乳やチーズ、奈良県産のはちみつ、スパイスやハーブ類など。それらを独創的に組み合わせ、目にも美しいひと皿に仕上げていきます。堀田シェフがメニューのイメージを膨らませ、パティシエの張替保乃伽さんが具現化。営業中は主に張替さんがキッチンに立ち、デザートの提供を行います。 デザートコースは2時間制で要予約。季節のジュース、本日のお楽しみ3種、パフェの3品コース3500円(税込)と、さらに季節のひと皿、温かいひと皿を加えた5品コース5,000円(税込)があり、それぞれ1ドリンクオーダー制。料理とワインを楽しむような感覚で、デザートと紅茶をマッチさせたティーペアリングもあります。 「通りすがりにふらっと立ち寄るカフェに比べると少し敷居が高いかもしれないけれど、デザートのコースという新しい体験を楽しみに、ここ今井町を目指して来ていただきたい。短いコースの中でも、奈良の食材と季節の恵みを味わってもらえたら」と堀田シェフは話します。 ■人が集まり、つながり、交錯する、ひらかれた場所 長屋を抜けた敷地奥に広がっていたのは、芝生広場。ここは今後、多目的に使っていく予定だそう。「すぐ近くにこども園や小学校があるので、親御さんが送り迎えの前後に立ち寄ったり、ペット連れで自由に過ごしてもらったり。ひらかれた憩いの場として、住民の方や観光の方、いろいろな方が交わればいいですね。奈良は中部、南部がこれからもっとおもしろくなっていきますよ」と、大久保さん。 長屋内の〈narawashi store(ならわしストア)〉は、奈良の食文化を掘り下げるローカルショップ。奈良の地酒をはじめ、奈良県最古の醤油蔵〈マルト醤油〉の醤油、柿の葉や金ごまを使った焼き菓子なども販売しています。 レンタルキッチンスペースの〈narawashi kitchen〉(ならわし キッチン)、国内外の料理人を集めたポップアップレストラン〈chef in nagaya〉(シェフ イン ナガヤ)も始動予定とのことで、今後ますます目が離せません。 さらに現在、テナントの入居者も募集中。食にまつわる表現を目指している方、奈良の食文化を共に盛り上げたい方、手を挙げてみてはいかがでしょう。 人が集まり、有機的につながり、文化が育まれていく。歴史ある奈良・今井町の長屋から、新しい物語が生まれようとしています。 information narawashi nagaya 住所:奈良県橿原市今井町3丁目6-51(春日神社 鳥居前) アクセス:近鉄橿原線・八木西口駅から徒歩約15分 Web:narawashi nagaya *価格はすべて税込です。 writer profile Yoko Miya 宮ようこ みや・ようこ●埼玉県生まれ、山形県育ち。現在は関西を拠点にライター業に勤しむ。「晴耕雨読ときどき旅」を理想に掲げ、畑と街を行ったり来たり。旅先ではローカルなスーパーに必ず立ち寄る。おいしいもの、建物、工芸好き。 【コロカルニュース】とは? 全国各地の時事ネタから面白情報まで。コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。