麻雀界の“1000万円プレーヤー”へ 41歳元Jリーガー、二刀流&海外挑戦で目指すパイオニアの道
憧れはRMU代表でMリーガーの多井隆晴
田島は2012年のロアッソ熊本時代、Jリーグの公式戦出場はかなわず。現在はJ3に所属するFC琉球も、在籍した2004~07年には県リーグ、九州サッカーリーグ、JFL(日本フットボールリーグ)を舞台としていた。「日本のクラブでは、正直生活は厳しかったです」。田島はそう当時を振り返る。 「FC琉球の時は、1年目はアルバイトをしながらサッカーをしていました。(2006年に)JFLに上がってからも、食べることがギリギリの水準。年俸もないので、チームから与えられたサッカースクールと、焼き鳥屋のバイトが収入源でした。ロアッソ熊本でも、サッカースクールはクラブに許可をもらってやっていましたけど、(生活は)不安定で。練習は午前中に2時間なので、今振り返れば、時間を有効活用しておけば良かった。僕は何もやっていなくてもったいなかった。これまでの選手生活で言うと、一番(待遇が)良かったのはラスベガス(シティFC)時代。プール、ジム付きの家を与えられて、給料ももらっていました」 これまで苦しい環境を経験してきただけに、「若い頃は『お金じゃない』『好きなサッカーをやっていたい』という思いがありましたけど、もう生活を犠牲にはしたくない」と率直な思いを明かす。 「今41歳なので、50歳までにMリーガーになりたいですね。プロ雀士として目標は大きく、年俸1000万円。サッカー界で言う1億円プレーヤーを目指します」 田島が目指すのは、「RMU」を立ち上げた1人であり、Mリーグの渋谷ABEMASに所属するカリスマ雀士の多井隆晴だ。 「多井さんは相手の捨て牌とか読みが凄くて、僕の憧れ。多井さんの麻雀を見て、守備の部分で学びがありました。麻雀は1位を取っても、最終的に4位だと意味がなくなる。相手の読みも関わるので、経験が大事。僕はまだ、相手に怖さを与えられていないと思います。今年(2024年)のカップ戦でA-1リーグプロの仲川翔さんと同卓で対戦した時、うまくてもう敵わないと感じました(苦笑)。ただ、プロの独特な緊張感は、僕が求めていたものでもある。麻雀の強さ、影響力を含めて、多井さんのようになりたいです。麻雀に年齢は関係ないので、一生麻雀は続けたいですね」 次のリーグ戦(第4節)は来年1月。流浪のフットボーラー兼プロ雀士は、来たる時に備えて静かに牙を研ぐ。 □田島翔(たじま・しょう)1983年4月7日、北海道出身。サッカー選手として国内ではJリーグのロアッソ熊本、FC琉球、海外はスペイン、クロアチア、アメリカ、ニュージーランド、サンマリノ共和国、韓国、シンガポール、ブラジルと8か国でプレー。2022年7月に史上初となり元Jリーガーのプロ雀士となり、プロ競技麻雀団体RMUに所属。サッカーとの“二刀流”に挑戦中で、麻雀プロリーグ戦・Mリーグ出場を目指して研鑽を積む。
小田智史