ラグビーW杯メンバーから山田、立川の功労者2人が落選した理由とは?
今季サンウルブズ入りした38歳のトンプソン ルークが「W杯で成功したチームに一貫しているのは、経験者が入っているということ」とロックで42人の一人に選ばれたのに対し、33歳の山田と29歳の立川のキャリアは考慮の対象になりづらかったのだろうか。 会見では2人が漏れたことに関する質問が複数出た。 山田に関する回答は、「Xファクター(特殊能力)」「空中戦」に集約された。 ウイングに入ったのは俊足でエース格の福岡堅樹、小柄でも力強いレメキ ロマノ ラヴァ、スーパーラグビーのチーフスで活躍したアタアタ・モエアキオラの3名。フルバックを含めた「バックスリー」という働き場について、ジョセフは「今回、Xファクターを持った選手が揃っています」とし、こう続けた。 「今回のW杯で対戦するアイルランド代表はハイコンテストボールを蹴ってきて、空中戦でプレッシャーをかけてくると想定される。そんな空中戦に耐え、処理できる大きな選手が必要であるため、今回の選出になりました」 その言葉通り、北半球の雄であるアイルランド代表ではスクラムハーフのコナ・マレーがハイパント(高い打点のキック)を多用。落下地点へ大型ウイングを走らせ、空中で競り合う。身長182センチ、体重88キロの山田も飛び上がるタイミングの妙とばねに定評があるものの、ウイングの位置でのボーダーラインを超えたのはモエアキオラ(身長185センチ、体重114キロ)フルバック登録のヘンリー ジェイミー(身長184センチ、体重99キロ)ら大柄な選手だった。 立川の落選には「複数ポジション」という説明がなされた。 9月2日に統括団体のワールドラグビーへ提出するW杯大会登録メンバーの上限は、31名。ジョセフは「いままでのテストマッチ遠征では33名を抱えられましたが、今回は31名。複数ポジションをカバーできる選手が必要」とし、フルバックの松島幸太朗にウイングやアウトサイドセンターも任せたいうえ、アウトサイドセンターのウィリアム・トゥポウへはフルバックとしても期待すると明かした。 ナンバーエイトのラーボニ・ウォーレンボスアヤコもサンウルブズでインサイドセンターに入った経験があり、同じくサンウルブズでアピールしたフルバックの山中亮平ももともとはスタンドオフ、インサイドセンターを本職としていた。 さらにインサイドセンターの専門家では、28歳の中村亮土が守備力を活かして台頭。昨季国内のサントリーで中村からレギュラーを奪った23歳の梶村祐介は、代表ではアウトサイドセンターとしてラファエレ ティモシーらと定位置を争いそうだ。全ての事情を踏まえ、指揮官はこう話すのだった。 「選手からもコーチたちからもリスペクトされている立川を外すのは苦渋の決断でしたが、単純に、他の選手の方がいいパフォーマンスをしているからと捉えています」