中3女子生徒への殺人容疑で再逮捕 容疑者は否認 北九州死傷事件
北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年生の男女2人が刺され死傷した事件で、福岡県警は9日、男子生徒(15)に対する殺人未遂容疑で先月逮捕した無職平原(ひらばる)政徳容疑者(43)=同区長尾2丁目=を女子生徒に対する殺人容疑で再逮捕し、発表した。「認めない」と容疑を否認しているという。 【写真】「完全に変わった」周囲が語る容疑者の変化… 捜査が入った自宅 逮捕容疑は、昨年12月14日午後8時25分ごろ、同区徳力1丁目の「マクドナルド322徳力店」で、レジに並んでいた中島咲彩(さあや)さん(当時15)の腹部を刃物で突き刺し殺害した、というもの。 県警はこの日の会見で、平原容疑者と生徒2人との間に面識があったことは確認されていないとする一方、「無差別的な犯行ではない」との見方も示した。平原容疑者が何らかの理由で生徒2人を襲うことを事件直前に決めた可能性があるという。ただ、動機については「今後の捜査で明らかにする」とするにとどめた。 また、殺人未遂容疑について平原容疑者の供述が変化したことも明かされた。同19日に逮捕した際は「たしかにその行為をしました」と容疑を認めたが、その後「殺すつもりはなかった」という趣旨の供述をしているという。 事件では、男子生徒が先に腰付近を刺され全治1カ月の重傷を負い、その後に中島さんが襲われた。入店から退店まで十数秒の犯行で、それぞれ1回ずつ無言で刺された。男子生徒は「全く知らない人に刺された」などと話していたという。 捜査関係者によると、県警は付近の防犯カメラ映像などから、平原容疑者が現場に向かうのに使ったとみられる黒いワンボックスカーが事件当日、2人が刺される前に店の周囲を複数回往来していたことを確認している。この車は、2人が入店したのと同じ午後8時過ぎに店の駐車場に入り、店内が見える位置に止められたという。 2人は入店後、店の出入り口近くの客席に着き、十数分後に荷物を置いてレジに並んだ。事件が起きたのはそれから間もなくしてからで、2人の前に並んでいたほかの客4人は素通りされた。平原容疑者の車から押収されたナイフには、生徒2人のものと見られる血液が付着していたことが鑑定で明らかになっている。 県警は平原容疑者の車が、2人の入店時刻と同じころに駐車場に入ったのは偶然ではなく、何らかの意図によるものだった可能性があるとみて、引き続き動機の解明を進める。
朝日新聞社