ポストグーグルグラスにソニーが乗り出すことの意義 ITビジネスアナリスト・大元隆志
ソニーが取るべきウェアラブル戦略
それでも、未来のためにウェアラブルに投資するということなら、筆者は下記の二つの戦略を推奨します。 *イメージセンサーと画像認識アルゴリズムを強化する スマートグラスを作る側になるのではなく、スマートグラスを作る企業向けに魅力ある製品を供給する方がソニーの強みを活かせます。現在ソニーのイメージセンサーは世界シェア4割という強みを持っています。昨今、画像認識の技術は年々高度化しており、撮影された物体が顔であるのか、車なのか猫なのかを判断することが可能になっています。撮影された物体間の距離を推測することも可能になっています。米粒サイズの異物を検出することも可能です。このイメージセンサーの領域を更に発展させ、この分野での地位を不動のものにすれば、スマートグラス市場の成長と合わせてソニーも成長することが出来るでしょう。 *VRヘッドセットでPS4を強くする 「強みを強化」という点ではPS4も世界的に大ヒットしています。しかし、PS4は好調であるもののゲーム市場自体はスマートデバイスへの移行が進んでいます。スマートデバイスでは体験出来ない価値が据え置き型ゲーム機に求められています。ゲーム業界ではVRヘッドセットを利用したVRが注目されており、ソニーも「Project Morpheus」と呼ばれるVRヘッドセットを開発しています。 このVRヘッドセットをミリオンヒットが期待出来るソフトとセットで販売する等して、スマホでは体験出来ないリッチな体験をPS4で創出することは、PS4の未来を考える上で重要になるでしょう。 PS4でエンターティメントからVRヘッドセット市場を立ち上げウェアラブルのノウハウとコンテンツを蓄積し、強化したイメージセンサーを組み合わせて、他社には真似出来ないスマートグラスを作る。ソニーの今ある強みを強化していくことでも、スマートグラス攻略のシナリオを描くことは出来るのではないでしょうか。