廣岡達朗コラム「青木宣親引退、将来の指導者へ球団はバックアップせよ」
巨人の野球を勉強できたことに感謝
最近の外国人はヒゲ面ばかり目立つ。外国人というのは、ウチのチームはこういう伝統があるからと説明すれば聞く耳を持つ。メジャーでも、ヤンキースへ行けば、みんなきれいにヒゲを剃る。ルールに従順なのだ。その点、日本人のほうがわがままになっている。監督が「頼むぞ」と言うだけで「こうやれ」と言うだけの信念がないからだ。 私は13年間、巨人の野球を勉強できたことに感謝している。好きで巨人に入って鍛えられた。しかし巨人で勝っても意味がない。弱いチームを強くして勝ってこそ値打ちがあると分かった。巨人野球の何たるかを他球団に輸出したと言われれば、そうかもしれない。巨人出身の監督の多くが失敗するのは教えないからだ。なぜかというと自分自身が教えられて育っていない。レギュラーを獲るために当時の巨人は必死に競い合った。巨人は他球団とは違うと私が言うのはそういうことだ。 ペナントレースが終了すれば、クライマックス・シリーズが始まる。ああいう制度は意味がない。お客さんを呼ぶためだけの邪道。1位は1位であるべきだ。 ●廣岡達朗(ひろおか・たつろう) 1932年2月9日生まれ。広島県出身。呉三津田高、早大を経て54年に巨人入団。大型遊撃手として新人王に輝くなど活躍。66年に引退。広島、ヤクルトのコーチを経て76年シーズン途中にヤクルト監督に就任。78年、球団初のリーグ制覇、日本一に導く。82年の西武監督就任1年目から2年連続日本一。4年間で3度優勝という偉業を残し85年限りで退団。92年野球殿堂入り。 『週刊ベースボール』2024年9月23日号(9月11日発売)より 写真=BBM
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