東山動植物園にハクトウワシ舎がオープン/愛知
再生プランが進行中で、新施設のオープンが続いている名古屋市の東山動植物園に、アメリカの国鳥である「ハクトウワシ」の新獣舎が加わった。4月17日(木)のオープン当日には、名古屋市長河村たかし氏やアメリカ領事館首席領事、多くの来園者も立ち会って名古屋・ロサンゼルス姉妹都市提携55周年も記念した公開式典が行われた。 ■絶滅の危機から救われたアメリカの国鳥 18世紀末にはアメリカに約5万つがいが生息していたといわれるハクトウワシだが、開発による営巣地の消失や餌の減少、害鳥として駆除されるなどの影響で急速に個体数が減少。また、第2次世界大戦後に大量に散布された害虫駆除剤DDTがハクトウワシの体内に高濃度で取り込まれ、繁殖率が著しく低下するという事態が発生。これにより生息数はアメリカ本土で500つがいほどにまで落ち込んだ。 その後、DDTの使用を禁止するとともに、絶滅危惧種リストに加えて積極的な保護を行ったことで、1万つがい程度にまで増加。2007年には絶滅危惧種リストから除外されるまでに回復した。 ■力ある羽ばたきも見られる新獣舎 「従来のハクトウワシ舎に比べ約4倍の面積となった新獣舎では、対角線上に配置した止まり木に向かって羽ばたく様子が見られるようになりました」と新獣舎について解説してくれたのは、飼育第二係係長 今西鉄也さん。「これまでは一方向からしか見学することができませんでしたが、新獣舎では2方向が大きく開けているため、さまざまな角度から観察することが可能です」。また、新たな試みとして魚のいる水辺も設けられた。同園では餌としてホッケや鶏肉などを与えているが、自然界では魚や水鳥などを捕食する生態があるため、水中の魚を餌として捕獲することもできる環境となっている。 獣舎の一角には、生息地の分布が重なるアメリカビーバーの展示コーナーも登場。「プールや巣穴の一方がガラス張りになっているので、水中の移動はもちろん巣穴に籠っていていても様子が見られるなど、従来よりぐっと観察しやすくなりました」