40年以上の歴史に幕!「こまばアゴラ劇場サヨナラ公演」
1980年代から、40年以上もの長きにわたって「いまの演劇」を発信し続けてきた東京・目黒区の「こまばアゴラ劇場」が、2024年5月に閉館する。 今回上演される『S高原から』『銀河鉄道の夜』『阿房列車』『思い出せない夢のいくつか』過去公演の舞台写真 「こまばアゴラ劇場サヨナラ公演」として、3公演が予定されている。4月5日(金)~22日(月)に第99回公演『S高原から』、4月25日(木)~29日(月・祝)には第100回公演『銀河鉄道の夜』、5月8日(水)~15日(水)には第101回公演『阿房列車』『思い出せない夢のいくつか』を上演。いずれもこまばアゴラ劇場の芸術監督であり、青年団の代表を務める平田オリザが作・演出を務める。 『S高原から』は青年団の代表作のひとつであり、平田が20代で書いた作品。高原のサナトリウムを舞台に、そこで静養する人や面会に訪れる人などが交わり、それぞれが死と向き合う時間を描く。1991年の初演以来、日本のみならず世界でも幾度となく上演された。 『銀河鉄道の夜』は言わずと知れた宮沢賢治の名作を舞台化した、子供向けの演出作品。映画『幕が上がる』の劇中劇としても取り上げられた。アゴラ劇場での上演は2019年以来5年ぶり。 そして最後の公演となる『阿房列車』『思い出せない夢のいくつか』は、2作品を同じセットで連続上演するもの。『阿房列車』は内田百閒の原作をもとに1991年に平田が「元祖演劇乃素いき座」へ書き下ろしたのが最初。2023年の常磐線舞台芸術祭で青年団のために書き直し、平田自身が演出を務めた。『思い出せない夢のいくつか』は『阿房列車』のセルフカバーであり、『銀河鉄道の夜』がモチーフとなっている。 3公演で上演される4作品に共通するのは、生と死がそこにあるということだ。直接的にではなく、気配としてそこに横たわっている。こまばアゴラ劇場が最期を迎えるそのときに、いつものように淡々と過ごしながら、終わりを迎えようとする人々の物語が上演される。あの空間で繰り返し上演された青年団作品の思い出を胸に、最期の上演を見届けたい。