米女子ゴルフツアー年間女王、ジーノ・ティティクル パーオン率高める高精度のアイアン技術 大きなスイングアークが正確性に好影響
【勝者のワザ】 2024年の米女子ツアー年間王者に輝いたジーノ・ティティクル(21)=タイ。今季は最終戦「CMEグループツアー選手権」を含む2勝を挙げ、605万9309ドル(約9億4000万円)を稼いだ。 部門別の成績で際立っているのがパーオン率の高さだ。77%前後でトップを維持した。ドライバーの飛距離や正確性は、飛び抜けているというほどでもないのだが、アイアンになるとその正確性はツアー屈指と言える。パットもうまいことから、年間王者になったのもうなずける。 大きなスイングアークで振っていくタイプなので、一見、ドライバーの飛距離を求めているかのようにも見えるが、この大きさが最も好影響を与えているのは正確性ということになる。 アークが大きいことで、上下の入射角が緩やかであるため、スピン量が安定していることからアイアンで最も重視される距離感は抜群である。想定外に高い球が出たり、低く飛び出したりということはほとんどないだろう。 当然左右のスピンもコントロールしやすくなるので方向性もいい。薄いターフを削って、いつも楽々とグリーンをキャッチできるので、チャンスとなれば果敢にピンを狙って攻める精神的な余裕も生まれる。 バックスイングの軌道と、ダウンスイングの軌道が、一枚のスイングプレーンをなぞるワンプレーンタイプであることから、シンプルにスイングをとらえることができるので、これも安定感につながっているだろう。 テークバックでは、左手首を大きく掌屈させる使い方(手首の甲側を盛り上げるように手のひら側に折る)が目立つ。トップでのクラブの位置は、クラブヘッドが目標よりもかなり左方向を指すレイドオフのポジションになっている。 そしてダウンスイングではインサイドの低い位置からクラブヘッドをボールにコンタクトさせている。クラブフェースは常にシャットで、最近の流行のスタイルといえるだろう。 ■Jeeno Thitikul 2003年2月20日生まれ(21歳)。タイ・ラチャブリー出身。14歳4カ月19日で欧州ツアーで優勝し、同ツアーの最年少優勝記録を更新。16歳でプロへ転向し、史上最年少の18歳で同ツアー年間ポイントレースを制した。22年から米ツアーに参戦し、ルーキーで2勝を挙げて19歳で世界ランク1位。24年は最終戦「CMEグループ・ツアー選手権」を制して年間女王に輝いた。米ツアー通算4勝。162センチ。本名はアタヤで〝ジーノ〟はニックネーム。