2025年4月から夫婦で育休を取った場合、育児休業給付金が13%上乗せされるって本当? 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律の中身とは?
今回成立した「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」では、いくつかの重要政策が実施されることになりますが、その一つが「育児休業給付の給付率の引き上げ」です。これは男性の育児参加をさらに推し進めようとするもので、時代はすでに男性の育休取得が当たり前になる社会に変わろうとしています。 ▼「3人目3万円」に思わぬ落とし穴! 2024年12月に前倒しになった「児童手当拡充」の注意点 そこで今回は、法改正で育休制度がどのように変わるのかについて、確認していきましょう。
改正後の育児休業給付の給付イメージ
図表1は、改正後の育児休業給付の給付イメージを示すものです。厳密に見ると、図表1では育児休業給付金の制度が完全に描かれているわけではなく、今回の改正点がどこにあるかを強調するものとなっています。 図表1は横軸に出産後の経過期間を取り、上段を母親に対する給付率、下段を父親に対する給付率としています。 またこの図で示しているのは、「母親が産休を終えてから28日間に当たる期間と、出産後8週間が経過する前の28日間で父親が、それぞれ育休を取得した場合に、給付率が80%になる」という事例です。 図表1
出典:こども家庭庁「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)の概要」 図表1の事例について、もう少しかみ砕いて説明しましょう。 母親の場合……子どもが生まれました。8週間が経過しました。その後育休を取ると、育休開始から28日間は給付率が13%増えます。 父親の場合……子どもが生まれてから8週間のうちに、28日間仕事を休むと、給付率が13%増えます。 このような条件の下で、結果として夫婦ともに給付率が80%になる……という考え方です。
もう少し具体的な要件を整理すると……
もう少し正確に、改正される内容を確認していきます。この段落では制度で用いられている説明文を、条件ごとに分けたうえで使うため、難しいと感じる場合は、図表1と合わせてイメージしてみてください。 図表2
出典:こども家庭庁「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)の概要」 図表2のように文章を分解すると、この改正内容は、4つのポイントに分けることができます。図表1と合わせて、確認してみましょう。 (1)男性は子の出生後、女性は産後休業後、8週以内に育休を取得する これは「父親は子どもが生まれてから、母親は産前・産後休業(産休)期間のうち、産後休業(出産後8週間)が過ぎた後に育休を取得する」という意味になります。父親は子どもが生まれてから、母親は産休が終わってから、育休を取得する……とかみ砕いて理解してください。 (2)夫婦2人が14日以上の育休を取得する 図表2の文章では、「夫婦2人」について「被保険者とその配偶者」と記されています。これは例えば、夫が「雇用保険の被保険者(雇用保険に入っている人)」で、妻が「夫の配偶者」と解釈できます。つまり、夫婦ともに14日以上育休を取った場合というのが条件の一つになります。 (3)最大28日間、賃金の13%が上乗せされる 先ほど、「夫婦ともに14日以上育休を取った場合」と書きましたが、これには期間の制限があり、最大で28日間、賃金の13%が上乗せ支給されます。つまり約1ヶ月分は、賃金の13%が育児休業給付金に上乗せされることになります。 (4)育児休業給付と合わせて給付率80%(手取りで10割相当)に引き上げられる 改正後の育休制度では、条件に当てはまるような育休を取得した場合、夫婦ともに賃金の80%相当額が支給されます。これは手取りで考えた場合、社会保険料の免除なども考慮すると、実質的な手取り額は減らないということになります。