NCT/NCT127ドヨンが体現する切ない片想い…不思議なノートを巡るファンタジックな青春ロマンス<私を愛さないXに>
4月にリリースした1stソロアルバム「YOUTH」が韓国の音楽ランキングで1位を獲得し、初の単独アジアツアー「2024 DOYOUNG CONCERT [ Dear Youth, ]」を敢行中のNCTドヨン。すでにソウルや横浜、大阪の公演を成功させ、8月の名古屋や香港、バンコク、9月の東京、マニラ、ジャカルタ公演にも期待が集まっており、NCT127としても7月15日(月)にカムバックが決定している。その一方で、俳優としても存在感を増している。「女性チャンネル♪LaLa TV」で7月10日(水)から放送される主演ドラマ「私を愛さないXに」(2022年)では、アジア中でモテモテのドヨンがその輝きを封印し、片想いする青年役で新たな魅力を披露している。(以下、ストーリーのネタバレがあります) 【写真】ヒス(ハン・ジヒョ)をおんぶするシホ(ドヨン)。その優しさは届かない… ■ハン・ジヒョが共感度満点のヒロインを熱演 「私を愛さないXに」は、自己肯定感ゼロで恋愛経験のないヒロインと、彼女に一途に思いを寄せる男友達の恋と成長を描くラブロマンス。 作詞家志望だが自己肯定感ゼロの大学2年生・ヒスは、1カ月限定で相手を自分に恋させることができる魔法のノートを手に入れる。1カ月経ったら相手はヒスへの恋心を忘れてしまい、こっぴどくフラれる結末が待っているのだが、ヒスはそれがわかっていながら意味のない恋愛を繰り返す。ほんのひと時でも、自分を肯定するために――。 20代女性に関心の高いキーワード“自己肯定感”と“恋愛”をベースに、ドラマ「酒飲みな都会の女たち」(2021年)などに出演した23歳のネクストブレイク女優ハン・ジヒョが、夢と恋のはざまでもがく共感度満点のヒロイン、ソ・ヒスを演じている。 ■NCTドヨンが切ない片想い男子に ドヨンが演じているのは、そんなヒスを心配する男友達チョン・シホ。過去にいじめに遭い今もそのトラウマを抱えながらも、転校先でヒスの優しさに触れて以来、“親友”として彼女をそばで見守り続けるキャラクターだ。 一見ぶっきらぼうで周囲には関心がなさそうなシホだが、転校直後に唯一手を差し伸べてくれたヒスに誰よりも感謝しているし、それ以来ずっとそばにいたから彼女の良さもよく理解している。周囲がなんと言おうとヒスの書いた詞を心からほめ、ヒスが自信を喪失すれば「詞を書いている間は没頭できるんだろ? 続けろよ、続けてれば得意になる」と励ましてきた。普段はおとなしいシホがヒスだけに見せるはにかんだ笑顔も魅力的だ。 いつしかヒスに恋心を抱くようになったシホ。だが彼はその想いを封印。ノートの力で次々とニセモノの恋に身を任せては傷つくことを繰り返すヒスに寄り添い、“親友”として彼女の無意味な恋愛ごっこをたしなめ続ける。 “ほかの誰か”を見ているヒスを、シホだけがいつも目で追っている。ヒスがその想いに気づく日が来なくても…。本作で何度も登場するその構図が切ない。 特に印象的なのが、ヒスに誘われ海にダブルデートに行くシーン。シホは持ってきたカメラを構えて、彼氏と幸せそうな時間を過ごすヒスをファインダー越しに追い続ける。カメラで表情が見えないが、後ろ姿に寂しさがにじむ。役を離れれば人気アーティストのドヨンが、初主演ドラマ「深夜カフェ」(2021年)に続いて2度目のドラマ主演作で、相手を思って切ない片想いを続ける主人公を繊細に演じている。 ■“親友”として…何もできないもどかしさを繊細に表現 ノートの秘密を共有し、ヒスに寄り添い続けるシホが秘めた感情をあらわにするのが、ドラマ中盤でヒスに「あなたはいい恋愛をして」と恋を勧められるシーンだ。 シホがバイト先の後輩パク・セジン(クォン・アルム)といい雰囲気だと勘違いしたヒスに「2人、似合ってる」「あなたはいい恋愛をして」と言われ、穏やかなシホが珍しく「いい恋愛? それ何」と声を荒げる。ヒスの言葉に“私はいい恋愛をしていないけど”という彼女自身の自己否定を感じたからだ。 シホは「“いい恋愛”が何かわからないけど、そんなこと言うな。僕を苦しめてるんだよ」と、思わず本心をヒスにぶつけてしまう。繰り返しひどい恋愛ばかりして自分自身を傷つけるヒスが歯がゆく、そんな彼女を見ているだけの自分に腹が立つシホ。そんな彼が正直な想いを吐露し、最後は涙をこらえるように声を震わせる姿に胸が締めつけられる。 ■切ないバラードで挿入歌にも参加 ドヨンはこの作品で、演技だけでなく挿入歌にも参加している。歌っているのは、友人に密かに想いを寄せる主人公の心情を韓国語で歌い上げる「愛せない君に」。“君から愛される人がうらやましくて、憎い”“君のそばに一緒にいられるなら苦しくても笑ってみせる”――シホの心情そのままの切ない歌詞が、ドヨンの甘い声と溶け合うバラードだ。 ソロ活動も充実し、演技に歌にと幅広い活躍を続けるドヨン。そんな彼がファンタジックな青春ロマンスで見せる切なくもあたたかいキャラクターをじっくり堪能したい。 ◆文=酒寄美智子