公的年金だけで生活できるか心配です…「個人年金保険」や「私的年金」を活用した方がよいでしょうか?
個人年金保険の特徴
個人年金保険は、保険会社が販売する商品の1つで、60歳や65歳など契約で決められた年齢から年金を受け取ることができる保険です。主に確定年金と、保証期間付終身保険の2つのタイプがあります。 確定年金は、年金の受取開始後、5年、10年、20年など契約で決められた一定期間、年金を受け取るものです。受取期間中に被保険者が亡くなった場合でも、遺族などが残りの期間に対応する年金、または一時金を受け取ることができます。 保証期間付終身保険は、保証期間中は被保険者の生死に関係なく年金が受け取れ、保証期間の経過後は被保険者が生存している限り、生涯にわたって年金を受け取れるものです。 また、外貨で運用する「外貨建個人年金保険」や、保険に投資信託などを組み込み、将来受け取る年金額や解約返戻金が変動する「変額個人年金保険」などの派生商品もあります。個人年金保険は、保険金を老後に年金形式で受け取ることができるので、老後資金を準備する手段の1つになるでしょう。 また、個人年金保険の保険料は所得税や住民税の生命保険料控除の対象となるので、税制面での優遇も受けられます。なお、個人年金保険で受け取った年金については、雑所得として所得税や住民税の課税対象になります。
個人年金保険と個人型確定拠出年金の比較
個人年金保険について、私的年金のうち個人型確定拠出年金と比較すると、確定拠出年金は60歳になるまで原則引き出すことができないのに対して、個人年金保険では元本割れする可能性があるものの、保険料払込期間に途中解約ができる点で柔軟性があります。 一方、税制上の優遇では個人型確定拠出年金と比べて劣る部分があります。 確定拠出年金は、社会保険料控除として掛け金の全額を適用できるのに対し、個人年金保険は生命保険料控除として、新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)の場合は最大4万円(年間保険料8万円以上のケース)、旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)の場合では最大5万円(年間保険料10万円以上のケース)の控除となります。 受給時についても、確定拠出年金は年金形式で受け取る場合に公的年金等控除の対象となりますが、個人年金保険ではそのような控除がありません。 個人年金保険は老後資金の準備に有効ですが、加入に当たっては個人型確定拠出年金などとメリット・デメリットを比較することが大切でしょう。
まとめ
この記事では、公的年金に上乗せできる制度である私的年金のほか、個人年金保険について紹介しました。 老後資金をしっかりと準備しておきたい場合は、税制上の優遇が大きい確定拠出年金などと比較した上で、個人年金保険の利用を検討するといいでしょう。 出典 日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度 厚生労働省 私的年金制度の概要(企業年金、個人年金) 知るぽると 生命保険商品 執筆者:伊達寿和 CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
ファイナンシャルフィールド編集部