【解説】“違法捜査”国と東京都に賠償命令、判決のポイントは? 大川原化工機が勝訴
日テレNEWS NNN
軍事転用可能な機械を不正に輸出したとして警視庁公安部に逮捕され、その後、起訴を取り消された「大川原化工機」の社長らが国と都を訴えた裁判で、東京地裁は27日、国と都に賠償を命じる判決を言い渡しました。裁判では、当時捜査の中心メンバーだった現職の警察官が、弁護士から「事件はでっち上げではないか」と聞かれて「ねつ造ですね」などと証言していました。
■東京地裁「捜査の違法性」認めるも…開発者は疑い晴らせぬまま帰らぬ人に
有働由美子キャスター 「『捜査が違法だった』。原告側がこう訴えていた裁判で27日、東京地裁は逮捕や起訴は違法だったと認め、国と都に約1億6200万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。本当にひどい事件ですが」 小栗泉・日本テレビ解説委員長 「そうですね。横浜市にある『大川原化工機』という会社。液体を粉に変えて、インスタントコーヒーや粉ミルクを生産する時に使う『噴霧乾燥機』を製造しているんですが、警視庁公安部は3年前、この機械をめぐって『生物兵器に転用が可能で、許可なく輸出した』として社長ら幹部3人を逮捕。そして起訴され、約1年間、身柄を拘束されました。ただその後、検察は刑事裁判が始まる直前になって一転、起訴を取り消しましたが、開発者の相嶋さんは勾留中に胃がんがわかって、疑いを晴らせないまま帰らぬ人となってしまいました」
■“違法捜査”…なぜ突き進んだ?
有働キャスター 「やりきれない気持ちになりますが、なぜこんなことになったんでしょうか」 小栗解説委員長 「今回の裁判は社長らが『捜査は違法だった』として訴えたものでした。27日の判決で東京地裁は、犯罪が成立するかどうか判断するのに必要な実験をせずに逮捕に踏み切ったことや、元役員の取り調べで、実際には発言していない内容を記載した調書を作成したことなどを指摘して、この捜査の違法性を認めた形です」
小栗解説委員長 「実は、起訴が取り消される前、会社側に『警視庁』の判が押された差出人不明の手紙が送られてきました。警視庁内部とみられる人物から、会社側は無実だとする内容だったということです」 有働キャスター 「こうしたものもあるのに、なぜそれでも突き進んでしまったんでしょうか?」