Vチューバ―とコラボの企業続々 グッズ売り上げが新たな収入源、「推し」と2人ではかどる筋トレ 800億円規模の市場に参入
CGアニメのキャラクターとして動画を配信するバーチャルユーチューバー(Vチューバー)事業に乗り出す地場企業が相次いでいる。ライブの開催やグッズ製作に加え、トレーニングジムで画面のキャラと一緒に体を動かすコラボなど、多彩な手法で新たな客層を取り込もうとしている。 【画像】Vチューバーとトレーニングできる装置。ハコジムが開発を進めている デジタル写真加工のアスカネット(広島市安佐南区)は8月末、中区の繁華街にあるライブ会場3カ所で、初のVチューバーフェスを開いた。チケット代は5千円。主に20~40代の約200人が訪れ、広島県外からの来場が半数以上を占めた。 「広島の皆さん、集まってくれてありがとうございます」。大型モニターでVチューバーの七原六花(ななはらりつか)さんが感極まった声で呼びかけると、会場は大きな拍手に包まれた。薄暗い照明の下で多数のペンライトの光が揺れ、まるでアイドルのコンサート。3会場で23組のVチューバーが画面越しに歌やトークで盛り上げた。 このうち1会場では、自社で作ったVチューバーのサイン入りフォトボード(5千円)やキーホルダー(2千円)を販売した。兵庫県から駆け付けた会社員女性(40)は「七原さんの身近な生活のトークが好きで、アイドルより近い存在。最高でした」と笑顔を浮かべた。 アスカネットは昨年12月、Vチューバーが所属する事務所の運営会社の全株式を取得した。取得額は4億3700万円。遺影加工や個人向けの写真集製作のノウハウを生かし、関連グッズの開発に力を入れる。功野顕也専務は「新たな収益の柱に育てたい」と話す。 室内トレーニングでVチューバーとのコラボを計画するのは、フィットネスジム運営のハコジム(南区)。大型モニターに映るVチューバーの動きに合わせ、利用者がスクワットやベンチプレスをする。Vチューバーから画面越しに「がんばれー」「すごいすごい」と声援を受けられる。 来年3月にサービスを始める予定。永田秀晶社長は「推しと2人きりになれるような没入感がある。これまで運動に縁がなかった人にも、推し活の一環でジムに来てほしい」と呼びかけている。
Vチューバーとは
アニメ風のキャラクターを使って動画サイト「ユーチューブ」などで活動する動画配信者。2016年に登場した「キズナアイ」が草分けとされ、ゲーム実況や歌などの動画が人気を集めている。矢野経済研究所は23年度のVチューバー市場規模を前年度に比べて5割増の800億円と見込む。
中国新聞社