難敵デンマークに快勝で8強入りのドイツ。随所で光る36歳ナーゲルスマンの好采配【現地発コラム】
「控え選手は時間稼ぎの交代をするためにいるのではない」
1点リードした64分にはイルカイ・ギュンドアンとアンドリヒに代えて、ニクラス・フュルクルクとエムレ・ジャンをピッチに送る。競り合いに強いフュルクルクとフィジカルにも強くインテリジェンスにスペースで動けるハバーツを残すことで、カウンターの起点を創出。相手守備にセンターをよりケアさせることでサイドのスペースをつきやすい手を打った。 68分、ジャマル・ムシアラがニコ・シュロッターベックのパスで抜け出して決めた追加点が生まれたのは、ナーゲルスマンの多彩な采配にも要因があった。2点をリードした終盤にはヴァルデマール・アントンをサネと交代で起用し、ハバーツを右サイドに回す。デンマークに反撃を許さず、見事に無失点でゲームを締めた。 バイエルンの監督時代にはどこか窮屈な采配をしていた印象を残したナーゲルスマンだが、もともと思い切りのある勇敢な采配がスタイルだ。 ドイツで開催された国際コーチ会議で登壇した時に、「控え選手は時間稼ぎの交代をするためにいるのではない。ピッチに立って変化を起こしたり、安定をもたらしたり、驚きの瞬間を作り出してくれるためにいるんだ。誰を下げたらいいのかという考えではない。誰をピッチにもたらしたいかで考えるんだ」と話していたのが今も印象に残っている。 難しい時間帯を乗り越えて勝利を手にした後、36歳の指揮官は記者会見で次のように語っていた。 「我々には2度ほどいい時間帯があったけど、簡単な試合ではなかった。相手もいいプレーをしたんだ。試合ではすべてがうまくいくわけではない。でも苦しい時間帯にもチームはいいキャラクターを示してくれた。サッカーとしてのクオリティを見せて、安定感をもって戦った。このチームを誇りに思う。かつてドイツが持っていた粘り強さを感じさせるようになってきているのではないだろうか」 試合途中に轟いた雷は試合終了後にまた鳴りだした。雨も強い。スタジアムから出られずに深夜まで雨宿りをしていたファンも少なくない。だが、みんなとても幸せそうな顔をしていた。この余韻にいつまでも浸っていられるのだから、やまない雨はむしろそのための贈り物でもあるかもしれない。 取材・文●中野吉之伴
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