（ブルームバーグ）： 中国の工業生産は５月に鈍化する一方、小売売上高の伸びが予想を上回った。中国経済の不均衡な回復が少なくとも若干是正されつつある可能性を示唆している。

国家統計局が17日発表した５月の小売売上高は前年同月比3.7％増加。４月の2.3％増から伸びが加速し、ブルームバーグ調査の予想中央値（３％増）を上回った。５月の工業生産は前年同月比5.6％増加と、予想の6.2％増に届かなかった。４月は6.7％増えていた。

１－５月の固定資産投資は前年同期比４％増。4.2％増加と見込まれていた。

中国政府の喚起策にもかかわらず、家計部門の消費意欲が低かったことを踏まえると、５月の小売売上高はやや前向きな材料だ。製造業のてこ入れによって、住宅市場の低迷による影響を吸収し、経済の成長軌道を維持しようとする中、中国は輸出主導の成長にかじを切っていた。

だが、主要な貿易相手国による新たな貿易障壁で中国の輸出は脅かされており、こうした戦略の先行き不透明感も高まっている。欧州連合（ＥＵ）は先週、米国に続いて中国の電気自動車（ＥＶ）に追加関税を賦課する方針を発表した。

ソシエテ・ジェネラルの大中華圏担当エコノミスト、ミシェル・ラム氏は５月の小売売上高が持ち直したものの、全体像としては「かなり弱い回復」にとどまっていると分析。「小売売上高の勢いが持続的なのかはまだ分からない」とし、今年の国内総生産（ＧＤＰ）成長率目標である５％前後を達成するには、インフラ投資を加速させる必要があると述べた。

原題：China Factory Output Cools, Retail Spending Beats Forecasts (1)（抜粋）

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