青学大のドラフト候補主将、MVPで史上6校目の連覇に貢献「こみ上げる思いがありました」 今秋には”4冠”へ
◆報知新聞社後援 第73回全日本大学野球選手権▽決勝 青学大2―1早大(16日・神宮) 決勝が行われ、青学大(東都大学)が早大(東京六大学)に2―1で逆転勝ちし、昨年に続き2年連続6度目の優勝を果たした。1点を追う5回に逆転し、リリーフ陣の力投で逃げ切った。連覇は2010、11年の東洋大以来、史上6校目、8度目で、青学大は初めて。今大会2本塁打8打点でVの原動力となった今秋ドラフト候補の主将、佐々木泰(たい)内野手(4年)がMVPに輝いた。早大は再三の好機にあと1本が出ず、9年ぶり6度目の栄冠はつかめなかった。 マウンドを中心に広がっていく歓喜の輪に、佐々木は最後に加わった。「本当に苦しかった。先輩の存在があった昨年と違い、自分たちが引っ張る立場での優勝。こみ上げる思いがありました」。主将として成し遂げた大会連覇。喜びをかみしめながらゆっくりと仲間に向かって歩を進め、ハイタッチを交わした。 4試合で2本塁打8打点。文句なしの最高殊勲選手に輝いた。打率1割7分8厘と低迷した春季リーグ戦を糧に、本来の力強い打撃を取り戻した。「(優勝を決めた)リーグ戦最終戦(対中大)でのホームランの感覚を忘れないよう反復練習を続けたことが、結果につながった」。1年春からリーグ戦に出場し、いきなり4本塁打。東都NO1の“アーチスト”と注目されながら昨秋から打撃不振に陥っていたが、全国の舞台で再び輝きを放った。 決勝は3打数無安打も、三塁守備からの声かけでチームを支えた。1点リードで迎えた8回1死満塁のピンチ。三邪飛を捕球すると、すぐに2年生クローザー・鈴木泰成に駆け寄って肩を抱き「頼むぞ」と気合を入れた。「キャプテンに言われると気持ちが引き締まる」。鈴木はさらにギアを上げ、最後まで投げ切った。 春のリーグ戦。どんなに打撃が振るわなくても、安藤寧則監督(47)は「がむしゃらに野球に取り組む姿は、間違いなくチームに好影響を与えている」と信じ続けてきた。「皆がついていく。口数は多くないが、背中で引っ張る。男らしいですね。言い訳はしない。本当に我慢強いです。この大会でもやってくれた」 優勝投手になった鈴木は、メンバーの思いを代弁するように言った。「すごく頼もしいキャプテン。なんとしても4冠(春秋リーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会)をもぎ取ってプレゼントしたい」。表彰式を終え胴上げに招かれた佐々木は、仲間の腕に体を委ね、両手を上げて3度宙に舞った。(浜木 俊介) ◆佐々木 泰(ささき・たい)2002年12月24日、岐阜・大垣市生まれ。21歳。県岐阜商では主将。高校通算41本塁打。20年夏の甲子園交流試合でも本塁打。青学大では1年春のリーグ戦で4本塁打を放つなど、東都の1年生史上最多となる年間6発。リーグ戦通算79試合で打率2割3分4厘、12本塁打、31打点。好きな芸能人は千鳥。178センチ、82キロ。右投右打。
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