不登校のオンライン学習「成績反映」浸透しない訳 壁となる「学校で受ける定期テスト」「校長判断」
8割の学校が「自宅でのオンライン学習」を出席扱いに
文部科学省は2023年3月の通知で「教室以外の学習等の成果の適切な評価の実施」を求めたが、十分に対応できている学校はまだ少ないのではないか。こうした中、以前から不登校児童生徒の自宅学習をオンラインで支援し、在籍校の出席や成績評価につなげる取り組みに力を入れてきたのが、クラスジャパン小中学園だ。同代表・校長であり、自身も10年間の不登校経験があるという小幡和輝氏が考える、成績評価のあり方とは。 【画像】オンライン学習での頑張りを学校に伝える「学習レポート」のイメージ 「自宅でのオンライン学習については、一部の学校を除き、今はほとんどの学校が出席扱いとして認めていますね」 そう語るのは、クラスジャパン小中学園(以下、クラスジャパン)で設立時からアドバイザーとして関わり、2022年から同代表・校長を務める小幡和輝氏だ。 クラスジャパンは、不登校児童生徒の1人ひとりに「ネットの先生」がチャットを通じて伴走し、自宅学習をサポートするオンラインフリースクール。2018年に設立され、これまでの受講者は累計1000人以上に上る。最も多いのは、小学校高学年から中学3年までの不登校児童生徒だ。 子どもたちは、すららやeboard、スタディサプリ、デキタスといった、5教科を学習できる教科書準拠のオンライン教材などから、理解度に合った教材を選んで自宅学習を進めていく。ネットの先生は、学習計画の段階からサポートし、目標達成まで継続的にフォロー。また、eスポーツやプログラミング、イラストなどのネット部活動や、子どもたち同士のオンライン交流の場となっているホームルームも設けている。 サービスの大きな特徴は、月に1度、そうした子どもたちの学習面や生活面の頑張りをまとめた「学習レポート」を作成している点だ。保護者や学校から要望があれば、担当者が学習レポートについて直接説明を行っている。 しかし、学習レポートは最初からスムーズに活用されたわけではない。 2019年に文科省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」が出され、不登校児童生徒のICT等を活用した自宅学習は、一定の要件を満たした場合に校長の判断で出席扱いや成績評価につなげられることになったが、クラスジャパンがサービスを始めた当時はICT活用が浸透していなかった。そのため、学校だけでなく受講者に対しても、Zoomの使い方などの説明から始める必要があったという。 「当時は文科省の通知も知られていないし、学校もどう認定すべきかわからなかったんです。具体的な基準が示されていなかったため、僕たちは経済産業省の『未来の教室』の事業として、17の自治体と一緒に認定のガイドラインを作り、1526の教育委員会に配布しました。そうした経緯もあり、当初は僕たちの取り組みが各自治体で初めての事例となることが多かったですね。でも、各自治体で1校でも認定されると、それが事例となって拡大していきます。コロナ禍で多くの学校がオンライン授業を経験したことも後押しとなり、今では学習レポートを提出した学校のうち8割程度は、出席として認めてくれるようになりました」