「クリスチャン ルブタン ビューティ」国内百貨店撤退 苦戦の理由は?
グローバルでは中東や南米の売り上げが伸びており、プーチの直近のメイクアップカテゴリーの成長に貢献している。商品カテゴリーもファンデーションやフェイスパウダーなどのベースメイクまで広げ、日本ではネイル、リップ共にブランドの象徴であるレッドが人気で、シューズ売り場からの買い回りや、男性のギフト購入などが見られることも特徴だった。
同ブランドは、アイコンシューズのヒールを思わせる先の尖ったモチーフをネイルカラーのキャップに用いたり、古代バビロニアにインスパイアされたゴールドとブラックの豪奢なデザインをリップケースに取り入れたり、デコラティブなデザインで認知度を上げてきた。製品開発をリードするメイクアップアーティストには、イサマヤ・フレンチ(Isamaya Ffrench)や、昨年12月に新グローバル メイクアップアーティストとしてパリを拠点に活動するモルガン・マルティニ(Morgane Martini)を起用。イサマヤ・フレンチはメイクアップの既成概念に囚われないユニークなルックを手掛けることで知られ、モルガン・マルティニは油絵、デッサン、ファッションをインスピレーション源とし、1970年代と80年代のグラムスタイルに現代的なひねりを加えたメイクとクリエイティビティの高さが評価されている。
日本は機能や効果重視のトレンド
総合ブランドに押されシューズにも翳り
気鋭のアーティストとのコラボレーションを通してブランドの世界観を作り上げてきたが、日本では近年、化粧品に機能性を重視する傾向が強まっており、使い勝手や効果をうたうメイクアップ商品が増えている。また、コロナ禍でスキンケアニーズが高まり、メイクアップカテゴリーは復調しつつあるものの、メイクアップのみを展開するブランドが苦戦。華美な世界観を打ち出す中国ブランドの存在感も増しており、競争環境は厳しさを増していた。価格帯もアイコン商品のネイルカラーが7590円、リップアイテムが6930~1万5290円と競合ブランドと比べて高めの設定で、新商品がシーズナルでタイムリーに発売されなかったことも成長にブレーキをかけた。