早くも25期目のタイトルを獲得した藤井聡太。そんな彼を超えるタイトル期数を獲得した棋士の記録を紹介!
藤井聡太竜王・名人は9月の王座防衛により、早くも25期目のタイトル獲得。歴代5位である谷川浩司十七世名人の27期が目前となった。今年度残している竜王戦、王将戦、棋王戦の防衛に成功すれば、22歳の若さにして谷川を超えることとなる。それより上位の棋士を見ていこう。 【写真を見る】タイトル通算獲得数5位の谷川浩司十七世名人 歴代4位は渡辺明九段の31期。防衛戦に強く、20歳で竜王を獲得してから18年以上にわたって何かしらのタイトルを保持し続けた。いわゆる羽生世代の強豪と激闘を繰り広げ、年下とのタイトル戦はすべて勝ってきた。だが、藤井が登場してからは状況が一変。持っていたすべてのタイトルを奪われることとなった。藤井がいなければまだまだ記録を伸ばしていたことだろう。 ここからは一気に数字が伸びる。歴代3位は中原誠十六世名人の64期。昭和後期に活躍した大棋士で、永世称号を5つ持つなど一時代を築いた。なお、25期目のタイトルは29歳の時だった。長く第一人者の座にあった大山康晴十五世名人の時代を終わらせたのが中原だ。ただ、当時の六冠全冠制覇は果たせず、そこが後の2人ほど伸びなかった要因だろう。タイトル戦を多く戦った棋士は大山、米長邦雄永世棋聖、加藤一二三九段など。 歴代2位は大山康晴十五世名人の80期。最も長期間にわたって活躍した棋士の一人で、69歳で亡くなるまでA級順位戦に在籍していた。25期目のタイトルは39歳の時と最も遅い。 これは黎明期はタイトル数そのものが少なく、また20代の前半は戦争と被っていたことが大きい。通常は力が衰え始める40代、50代で数多くのタイトルを積み重ね、ここまで数字を伸ばした。タイトル挑戦、獲得の最年長記録はいずれも大山である。タイトル数が三~五の時代には度々全冠制覇を果たしていた。タイトル戦を多く戦った棋士は升田幸三実力制第四代名人、二上達也九段、中原など。 歴代1位はご存じ羽生善治九段だ。タイトル獲得数は通算99期で、現在も日本将棋連盟会長として働きながら、トップ棋士として100期目のタイトルを目指して戦い続けている。通算25期目のタイトルは25歳の時で、史上初の全七冠制覇を成し遂げた直後だった。七冠以降も長い間第一線で戦い、大山の持つ最多タイトル獲得記録を塗り替えた。タイトル戦を多く戦った棋士は谷川、佐藤康光九段、森内俊之九段などだ。 このように、藤井は史上最年少でのタイトル獲得から八冠制覇を成し遂げ、誰よりも早いペースでタイトルを積み重ねている。そして現在は8つのタイトルがあるため、これからも順調に数字を伸ばしていくことだろう。4位までは目前だが、その先はまだ遠い。果たしてどこまで伸ばし、ここでも歴代1位の記録に到達することができるだろうか。 文=渡部壮大
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