ホンダ新型「プレリュード」プロトタイプを試乗、次世代ハイブリッドでEV時代でも「エンジンのホンダ」は死なず!
■ 次世代e:HEVはこう進化する 次世代e:HEVの基本システムには2種類ある。 1つ目が、「フィット」や「ヴェゼル」などグローバル市場で小型車と称されるBセグメント向けのシステムだ。エンジンは新開発の排気量1.5Lを採用する。 2つ目は、「CR-V」や北米「パイロット」などC/Dセグメントに属する中型車向けのシステム。こちらは2.0Lの新開発エンジンを導入する。 新開発エンジンは、出力を落とすことなく燃焼効率を上げて燃費を向上させ、今後さらに厳しくなるグローバルでの環境規制に対応できるとした。 また、パワーコントロールユニットと呼ばれる制御システムやリチウムイオン電池システムなどについても、小型と中型、それぞれのe:HEVで共通性を高めてコスト削減を実現する。 コスト削減により1台当たりの粗利益は上がるという。アメリカでの生産ベースでの計算で、1台あたりの粗利益は2018年比で2023年までに1.5倍に向上したが、次世代e:HEV導入後の2027年では同じく18年比で2倍まで引き上げることを見込む。 また、小型車と中型車のそれぞれで、四輪駆動車の設定があり、後輪は電動モーターで駆動するシステムを採用した。 車体については今回、中型e:HEV向け各モデルで共通化できる範囲を増やした、ホンダとして新しい発想のプラットフォームを展示した。 これら小型と中型の次世代e:HEVは、技術面での基本的な発想は現行e:HEVを継承し、それをさらに進化させる形となる。 ではここで、現行e:HEVの特徴をおさらいしておきたい。
■ モーター駆動でも五感に響く「エンジンサウンド」 走行シーンを基に考えると、発進時や市街地での走行ではEV走行が主体となる。この場合、エンジンは停止しており、走行用モーターのみでクルマが動く。 次に、高速道路への合流など力強い加速を必要とする場合、エンジンがかかり発電用モーターが起動し、生み出される電力はバッテリーを経由して走行用モーターに伝えられる。 そして、ホンダ独自の技術が、高速道路などでクルージングしている際、クラッチを使ってエンジンを直結して走るモードだ。この場合、発電用と走行用のモーターはいずれも動かない。 こうしたe:HEVを次世代化するための開発キーワードが「五感に響く技術」だ。 「五感に響く技術」の代表格が、「Honda S+ Shift」である。これは、2020年に発売した「フィット」のe:HEVから搭載している、車速とエンジンサウンドを連動させる制御技術「リニアシフトコントロール」を進化させたものである。モーター駆動ながら、ギアシフトで回転数が上がっていくエンジン音のようなサウンドを演出する。2025年発売予定の新型「プレリュード」を皮切りに、次世代e:HEV搭載の全モデルに順次搭載する。 そのプレリュードだが、今回試乗した車両は量産型とほぼ同じ仕上がりのプロトタイプだ。 車体は現行「シビック タイプR」がベースで、さらに乗り心地の良さを加味したセッティングを施した。 そこに現行「シビック e:HEV」のエンジンを搭載し、さらに「Honda S+ Shift」を設定している。 走り味は、タイプR的な尖ったスポーティ性と、ハイブリッド技術による上質かつ次世代感覚が上手く融合している。 ドライブモードが、「コンフォート」「GT」「スポーツ」の3つに変更でき、それぞれに対してHonda S+ Shift がボタン操作で簡単にオン・オフできる。 つまり、合計6パターンのモードが楽しめるのだが、エンジン音に加えてアクティブサウンドコントロールによる音の演出にはっきりとした違いがある。 音だけではなく、例えばスポーツモードでHonda S+ Shiftをオンにすると、減速時に自動的にシフトダウンが入り、コーナー入口でクルマの挙動が落ち着く。 さらにコーナー中のアクセルワークに対するアクセル反応が鋭くなり、走りの楽しさが倍増した。 乗っていて、実にワクワクするクルマだ。 もう1台の試乗車は、現行「ヴェゼル」に次世代小型e:HEVを搭載したものだ。