日銀・黒田総裁会見4月27日(全文1)展レポに2%の物価安定目標、明記なし
展望レポートから2%目標達成時期の記述なくなったことについて
朝日新聞:幹事からもう2点お伺いします。1点目なんですが、今、まさに説明があった展望レポートから2%目標に達する時期の記述が、今回からなくなった点ですね。今まで、早期実現のために大規模緩和をし、かつ、達成する時期も一応明示してきたということとの整合性が取れなくなるんじゃないかというふうに受け取れます。これについてご説明ください。 黒田:これまで展望レポートにおいて2%程度に達する時期の見通しを記述してきましたけれども、これはあくまでも見通しであって、その変化と政策変更を機械的に結び付けているわけではない。この点はこれまでも繰り返し説明してきたところであります。もっとも市場の一部では、こうした見通しを2%の達成時期と捉えた上で、その変化を政策変更に結び付けるといった見方も根強く残っております。 また、現実の物価上昇が予想物価上昇率に波及するまでに相応の時間がかかる可能性があるなど、物価の先行きにはさまざまな不確実性がある中にあって、【係数 00:07:24】のみに過度な注目が集まることは市場とのコミュニケーションの面からも必ずしも適当とは言えません。このため、今回の展望レポートから、物価の先行き展望についてこれが達成期限ではなく、見通しであることを明確にするため記述の仕方を見直すこととしたわけであります。 なお、ご案内のとおり展望レポートの後ろに、従来とまったく同様に、政策委員の大勢の見通し、あるいは経済や物価に関する、リスクに関する見方もきちっと掲載されております。
物価安定目標2%達成時期の明記をやめた理由をもう一度説明してほしい
朝日新聞:最後の質問です。また、今の点に関するんですけど、そうすると時期を示して、いわば短期決戦型で2%を達成していくわけではないのだということになると、今の現状の副作用も伴うような大規模緩和を続けなくてもいいのではないかとか、いろんな見方が出てくるとは思うんですね。そういう中でもやっぱり今回、落としたというこの理由について、もう一度説明をいただけますでしょうか。 黒田:ご案内のとおり、2013年の4月に量的・質的金融緩和を導入した際に2%の目標をできるだけ早期実現するという際に、2年程度を念頭に置いてということで量的・質的金融緩和を始めたわけですが、その後はそういった特定の達成時期を念頭に置いて金融政策を運営してるわけではありませんで、例えば2016年9月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和のところではその辺りがさらに明確になっております。 日本銀行が2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということを目指して政策運営を行っており、その点は今後ともまったく変わりはありません。従いまして、現状、わが国の物価は先ほど申し上げたように、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べて弱めの動きが続いておりますので、こうした点を踏まえますと、日本銀行としては現在の金融市場調節方針の下で、強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが引き続き適当であると、こういうふうに考えております。 朝日新聞:幹事からは以上です。各社、どうぞ。 【連載】日銀・黒田総裁会見(2018年4月27日) 全文2へ続く