【独自】大西熊本市長の資金管理団体、「個人献金」なのに報告書住所欄は「企業・団体所在地」 2018~23年に380件、4300万円分
熊本市の大西一史市長の政治資金管理団体が2018~23年に受けた個人献金のうち約380件・計4300万円分について、政治資金収支報告書で、献金した寄付者の住所欄に企業や団体の所在地が記されていることが9日、熊本日日新聞の調べで分かった。 「実質的な企業献金疑い」識者ら指摘 大西熊本市長の資金管理団体、個人献金の報告書住所欄に企業・団体所在地
政治資金規正法は、政治家の資金管理団体に対する企業・団体献金を禁止し、「寄付をした者の氏名、住所及び職業」などを記載した報告書の提出を定めている。識者は大西市長の資金管理団体の記載について「個人献金を装った実質的な企業・団体献金と疑われる。個人献金であれば、住所は虚偽記載となる可能性がある」と指摘している。 報告書の記載について、大西市長は熊日の取材に「(寄付者から)申請された住所を書いている。基本的に個人の寄付だ。個人で私の活動を応援していただいており、問題があるとは思っていない。法令上問題であれば修正するが、自宅の住所を書くようにすべきなら、相手にも言わないといけない」と述べた。 大西市長の資金管理団体「新世代政経懇話会」が熊本県選挙管理委員会に提出した18~23年分の収支報告書によると、6年間で520件・総額約5964万円の個人献金を受けていた。同じ寄付者が複数件、献金した例も多い。
熊日が寄付者の記載住所を調べた結果、このうち381件・計4332万円分は企業など法人の所在地と一致した。自宅兼会社の例も含まれる。業種は建設や造園、医療、福祉、廃棄物処理、不動産など。寄付者の職業欄には「会社役員」や「理事長」などと記されていた。 複数の寄付者に尋ねたところ、ある法人の男性役員は「記載されたのは自分の住所とは別。法人のある住所を書いた方が、相手に分かりやすいと思った」、別の法人の男性役員は「法人の所在地が記載された理由はよく分からない」と答えた。多くの寄付者が個人献金と強調したが、「支出が会社か個人か分からない」という回答もあった。 総務省政治資金課は「法律上は氏名や住所を記載することになっている。住民票上の住所を書く定義はないが、実態に応じて書かれることが多い」と説明。大西市長の例が政治資金規正法に違反するかどうかは「司法の判断」と答えた。(政治資金取材班) ◆資金管理団体 政治家や公職の候補者が政治資金を取り扱う目的で、一つだけ指定できる政治団体。本人が代表者となる。同一の個人からの寄付は年間150万円以内に制限される。企業・団体からの献金の受け取りは禁止されている。