地球の生命誕生と進化に影響か?! 太陽系は生きるに過酷な銀河系中心部から気の遠くなる時を超え約1万光年の旅 鹿児島大研究グループが移動メカニズムを解明
鹿児島大・天の川銀河研究センターの馬場淳一特任准教授(44)=銀河天文学=らの研究グループは、太陽系が銀河系中心部から46億年かけて現在地まで、約1万光年移動したメカニズムを解明したと発表した。移動による環境変化が、地球上の生命誕生と進化に大きく影響した可能性を指摘。地球外生命の存在可能性に迫る道筋となることが期待されるという。11月下旬、米学術誌に掲載された。 【写真】馬場淳一氏
太陽系は、銀河系の中心から約2万7000光年の位置を周回しているが、誕生時は、現在より中心部に近い約1万7000光年で形成されたと推測されている。ただ、どのように移動したかは分かっていなかった。 馬場特任准教授らは今回、数値シミュレーションにより、銀河系中心部で恒星が棒状に集まる範囲が拡大したことと、恒星やガスが渦巻き状に集まる渦状腕(かじょうわん)構造が消滅と形成を繰り返した影響で、太陽系が1万光年ほど外側へ押し出されたことを確認。現在地に到達できた確率は約1%のまれな現象だと分かった。 銀河系の中心部は超新星爆発などが頻発して放射線リスクが高く、生命が存在するには危険な領域。比較的安全な位置へ移動したことで、生命に適した環境が形成されたと考えられる。 馬場特任准教授は「太陽系の形成や地球上での生命誕生を解明するには、銀河系との関係性を考えることが重要だ」と指摘。今回の研究が、太陽系以外の惑星系形成や生命誕生を探るための指針にもなると意義を語った。
南日本新聞 | 鹿児島