J1開幕戦でトップ6に起きた異変。その背景にあるものとは?
群雄割拠の混戦リーグを象徴する、大波乱の幕開けと言っていい。先週末に2019シーズンの開幕節が行われたJ1で、過去に例のない“珍事”が生まれていた。 史上5チーム目の連覇を達成した川崎フロンターレを筆頭に、昨シーズンの上位6位までに入ったチームが2敗4分けと、そろって勝ち星を挙げられなかった。J1に年間総合順位が導入された1999シーズン以降では、初めてとなる事態の背景には何があるのか。 開幕節の結果を見ると、川崎は6位のFC東京とスコアレスドロー。2位のサンフレッチェ広島は清水エスパルスと、5位の浦和レッズもベガルタ仙台とそれぞれ引き分け、3位の鹿島アントラーズは昇格組の大分トリニータに、4位の北海道コンサドーレ札幌は湘南ベルマーレに苦杯をなめている。 ホームの等々力陸上競技場で白星こそ挙げられなかったものの、川崎に関しては心配無用だろう。7本のシュートを放ったFW小林悠、相手のミスから決定的なチャンスをつかんだMF中村憲剛が決めていれば問題なく勝てていた。 だからこそ中村は試合後に「例年の開幕戦より、自分たちが思うようなゲームができた」と努めて前を向いている。 昨シーズンの後半戦で形を成した、ボールを支配し続けるスタイルは今シーズンも発動されている。ボールを失ってもすぐにプレスをかけて奪い返し、FC東京を自分たちのゴールに近づけない展開が続いたなかで、カウンターに勝機を見出そうとした相手をシュート6本に封じている。 右サイドバックのエウシーニョこそ清水へ移籍したが、他の主力はそろって残留。188cmの長身を誇るロンドン五輪得点王のFWレアンドロ・ダミアンが加入したことで、これまでなかった「高さ」も手にした。揺るぎない土台があるだけに、FC東京戦でシュート数ゼロのまま途中交代したダミアンがフィットするまで、チーム全体で待ちながら戦える余裕もある。 対するFC東京も、決して悲観する試合内容ではなかった。収穫は昨シーズンまでとは見違えるような存在感を示したMF久保建英。期限付き移籍していた横浜F・マリノスで、特にメンタル面を成長させて復帰した17歳は、いよいよ覚醒を果たしそうな雰囲気を漂わせている。 開幕直前にはグレミオ(ブラジル)から186cm、84kgの巨漢FWジャエルも加入。コンディション調整が間に合わず、川崎戦ではベンチ入りしなかったが、これまでのFC東京になかった高さと強さをもたらすだけに楽しみな存在となるはずだ。