【印象派誕生150周年】モネとジヴェルニー、『睡蓮』誕生を追ったビジュアル評伝に注目
印象派の巨匠クロード・モネの軌跡を追った『印象派のモネ「花の庭・水の庭」へ』(世界文化社)が発売された。ヨーロッパ芸術を追い続けた、南川三治郎氏による圧倒的に美しいビジュアルも見どころだ。 【写真】モネ自身も映る貴重な古写真とともに紐解く、その生涯と画業 画家モネはなぜ「睡蓮」に魅せられ、生涯最期のときまで大作に取り組んだのか。本書はモネの暮らしたジヴェルニー、その庭の四季折々の風景を追い、印象派の巨匠モネの人生を辿ったビジュアル伝記。フランス・ノルマンディー地方の小村ジヴェルニーに居を構えた時、モネは43歳。モネが熱中したことのひとつが、園芸であったはあまり知られていない。敷地内にはモネが造った二つの庭がある。ひとつは花の庭、もうひとつは水の庭。どちらも四季折々に表情を変えるモネが愛した庭だ。これらの庭で誕生した名画、さらにモネの暮らしにも触れながら、彼の代表作『睡蓮』の誕生に迫っていく。 モネが愛したジヴェルニーの庭に咲く四季折々の花々。足掛け2年、季節ごとに通い撮影した豊かなビジュアル。そして、モネの絵とシンクロするかのような画角で捉えた美しい写真は、カメラマンで大宅壮一門下のジャーナリストとしても活躍した著者の南川三治郎氏(1945~2018)によるもの。南川氏はパリを拠点に文化と人、ヨーロッパ芸術の神髄を追いかけた、レジェンド的存在として知られている。 ジヴェルニーの館の内部も写真で紹介している。もとはリンゴ酒を絞る農家だった家を、モネが手に入れ、独特の色彩感覚で調えた美しい田舎家だ。バラ色の外壁に緑の鎧戸、青い台所には美食家のモネならではの銅鍋が並び、目のさめるようなミモザ色のダイニングなど……。モネが暮らした当時セレブな客人をもてなした空間に、現在では世界中から多くのモネ愛好家が訪れる。 モネがジヴェルニーに移り住んだのは1883年。妻・カミーユが亡くなった後、モネは自身の息子二人と、パトロンであったオシュデ氏の妻アリスとその連れ子6人を引き連れて住み始めた。大家族にとって、ジヴェルニーの家は大きく、庭も広く理想的なものだった。モネのプライベートと印象派の巨匠としての人生を、貴重な古写真も入れながら平易な言葉で解説している。
文=リアルサウンド編集部