即興デジタルアートの世界王者誕生 大阪で初の世界大会
決勝戦は日本チャンピオンに初出場選手が挑戦
準決勝第1試合で大阪ダービーが実現。大会実力者の上田バロンさんに、新鋭アオガチョウさんが挑戦するかたちに。テーマは「ワイルド」と「夢」。接戦となったが、アオガチョウさんが僅差で競り勝ち、決勝へ駒を進めた。3位決定戦は上田バロンさんと台湾代表のロイザさんが対決し、上田さんが3位に滑り込んだ。 決勝は日本チャンピオンのジェイビースタイルさんと初出場のアオガチョウさんの戦いに。テーマは「未知」と「深夜」。たやすいテーマではない。ジェイビースタイルさんは絶対の自信を持つ自動車のタイヤから描き出す。リミッツ隆盛の立役者のひとりとして、イベントのエンターテイメント性も重視するジェイビースタイルさんは、決勝戦ではどんなテーマでも自分らしいタイヤをぶつけようと決めていたという。 一方のアオガチョウさんのモニターには、夜の森をさまよう恐竜たちが姿を現す。アオガチョウさんが彩色を施すたびに、恐竜たちを包み込む夜の闇の色合いが深みを増していく。刻々と変わる作品、指先、顔。ふたりの格闘ぶりが会場の巨大画面に映し出され、緊張感が観衆にも伝わってくる。結果はアオガチョウさんが勝利し、振り袖姿で華麗に舞った。
目の前のバトルから学ぶ若いアーティストも
審査員は「アオガチョウさんの才能は際立っている。一編の映画のような作品世界に仕上がった」と高く評価した。キモノ姿で堂々たる名優ぶりを披露したアオガチョウさんだが、THE PAGE大阪の取材には「緊張しがちなので、派手なキモノを着たら落ち着くかと思いまして」と、ナイーブな一面を明かしてくれた。 大阪でゲームソフトのモンスターなどの制作を手掛ける一方、画家として生き物の精神性を追求する創作に打ち込む。決勝戦で描き切った恐竜たちの憂愁を帯びた世界には、日ごろの創作活動が少なからず反映されたのではないか。「仕事ができるなら、仕事場は大阪でも東京でも構いません。住み慣れた大阪の方がくつろげます」と、自然体で臨む。 会場で応援していた20代女性は、大阪地区予選に出場したものの落選したという。「同じソフトを使っても、アオガチョウさんの彩色方法は違う。とても勉強になりました」と、興奮気味に話していた。