「誰かの背中を押す日が来るなんて」松下洸平、エッセイ発売の想いを明かす『フキサチーフ』 トークイベント現地レポート
他にも、お気に入りの章について問われると「麤(そ)」という漢字を見つけたときのことをピックアップ。「鹿鹿鹿って書いてある漢字があって。『こんなにたくさんの鹿に会ったのは、修学旅行で行った奈良公園ぶりだった』みたいな。うまいこと言うよねー?」と自画自賛した上に、客席に向かって同意を求めて笑いに包まれる。 ■3年半の連載から書籍化を迎えて「誰かの背中を押す日が来るなんて」 そんな終始和やかな雰囲気で進んだトークイベントは、あっという間に終演時間に。「終わりだって! 早いね」と残念そうに口を尖らせて寂しそうな表情を浮かべるが、やはりここでも悲しい気持ちのままでは終わらせない。 「僕が日記のように残していったものが、誰かの背中を押す日が来るなんて思ってもみなかったので、すごく嬉しいです。書いてよかったなと思いますし、 改めて本を作るにあたって協力してくださったみなさん、本当に感謝しています。僕自身も、例えば10年後にこの本を見返したときに懐かしんだり、この本に助けられることもあるかもしれません。一生懸命がむしゃらに頑張っている自分がここにいるので。僕にとってもそういう大切な1冊になってると思いますので、みなさん自身の心の中にもお守りのようにして、何かで悩んだり、悲しい気持ちになったときに読んで、もう1日頑張れる力をお届けできればいいなと思ってますので、大事にしてください」とメッセージを届けると、名残惜しい気持ちを振り切るように「またね!」と明るく挨拶を告げた。 そして、ゆっくりと客席に向かって一礼。そんな律儀で、丁寧で、ほのぼのと温かい、最後まで松下らしさ全開の微笑ましいトークイベントだった。
佐藤結衣