568日ぶり勝利逃すも先発に生き残った斎藤佑樹は次勝てるのか?
2015年9月16日のロッテ戦以来となる568日ぶりの白星を逃すことになった。それでも、斎藤自身は、復調の手ごたえを感じていた。 「勝てなかったことは悔しい。6回もあの四球から点を取られた。素直には喜べないが、(僕の今季復活への)スタートとしては大きい。やってきたことは出せた」 栗山監督は、登板後の斎藤に「我々が求めているものはそれ。方向性は間違っていない」と伝えたという。 常にポジティブな性善説に立つ栗山監督だが、いつにもまして斎藤を援護した。 「良かった。ボールが切れる意識を相手に持たせる。ああいうピッチングスタイルが我々が求めているもの。ぽんぽん点をとってやれていれば勝っていた。俺の責任」 不振の打線をなんとかしようと、大谷翔平を初めて「2番・DH」で起用するサプライズをやったが、結果的に機能せず打線は1点しか奪えなかった。投打の兼ね合いで復活勝利はお預けとなったが、斎藤はローテに生き残った。 では斎藤は、次の先発では勝てるのか。この日の復活への手ごたえは本物なのか。 この試合の解説をしていた元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏は、こんな見方をしている。 「風で苦労した佐々木と対照的に佑ちゃんは風に合っていた。シュートもフォークも曲がりが大きくなるが、それをうまく制御して風を生かしきれていた。ああやってゴロを打たせていくスタイルが、彼が生き残っていく形だろうし、そういう意味では、70点から80点をあげていいほどの理想的な内容を見せたと思う。 現状、日ハムは6番手の先発がいないので、佑ちゃんが引き続き先発チャンスをもらうのも当然だろう。では、これで次勝てるよ、新しいスタイルへの変身は成功したよ、と言えるかといえば、まだ評価するのは早いと思う。問題は、風のないドームや他球場でも同じようなピッチングを続けることができるかどうか。彼が持つ不安定要素は、まだ解消されたわけではない」 ZOZOマリンの強風という“ドーピング”で、斎藤が新境地として求めたシュートとフォークが異常に変化して、それをうまくコントロールしたが、“”追い風”のない場所でこそ真価を問われるだろう。 試合前、栗山監督は斎藤ローテにこだわる理由を「何度もいっているが(既存の形を)壊すというのがテーマ。新しいものを生み出さないと連覇なんか無理なんだ」と、昨季戦力にならなかった斎藤の復活という名の新しい力が連覇には必要になる、という持論を展開していた。 プロ7年目。崖っぷちの男が、V2の使者となれるのか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)