「漫画雑誌は全然売れない」「シールをはがして立ち読みはやめて」コンビニオーナーが激白
コンビニ特有の悩みとは
ところで、A氏が頭を抱えるのは週刊誌やグラビア雑誌の扱われ方である。 「シールを貼っているのに無理やり開けて立ち読みしようとする客が多いから、破れたり汚れたりしやすい。手の脂が表紙について折れ曲がっている雑誌なんて、心理的に買う気が起きないでしょう。それに、本を並べるラックの構造もよくないよね。勢いよく突っ込まれるから、表紙がすぐに破れる。困りますね」 コスプレイヤーやアイドルの表紙がウリの漫画雑誌も、ボロボロにされやすいそうだ。以前のコンビニといえば、雑誌コーナーを駐車場に面した場所に置き、敢えて立ち読みさせることで客が入っていると思わせ、集客効果を狙っていたといわれる。いまはそんな効果はゼロと言っていいようである。 「とにかく、漫画雑誌が売れなくなったのは痛いですよ。今の若い人って、そもそも漫画を読んでいるんですかね? あ、電子書籍で読んでいるのか。ファッション雑誌は全然ダメですね。あと、コンビニコミックも、いったいいつまでもつか怪しいくらい、売れ行きが芳しくない。あ、『ゴルゴ13』とか『こち亀』は近所のおじさんや、長距離トラックの運転手さんに売れて堅調です』 かつてコンビニで扱う本で売れ筋だったのは、成人誌であった。しかし、数年前から事実上、大手コンビニでは成人誌の取り扱いを停止している。これは子供や女性客への配慮、そして東京オリンピックや大阪万博を見据えた対応というが、「ネットの無料動画やダウンロードサイトの台頭で、成人誌の売れ行きは悪くなっていたので、なくなるのは時間の問題だった」と、A氏。
成人雑誌の扱いがなくなったのも痛い
なお、コンビニは立地などによって売れ筋の商品に差が出る傾向がある。あくまでも今回の取材は秋田県の一店舗のケースとして見ていただきたいが、とはいえコンビニの本の売れ行きが良好とはいえない実態がよくわかる。昔ながらの書店が相次いで閉店する中、コンビニは比較的新刊が入りやすいなどの強みもあった。そのため、近所の高齢者からの注文もあるという。A氏はこう訴える。 「私も漫画が好きですし、本が好きですよ。でも、やはり店の売上が大事ですから、頭を抱えてしまいます。ただ、個人的にはうちで売られている本を雑に扱う人が一番困ります。本当に迷惑。雑誌をボロボロにしないでほしい。貼られているテープをはがさないでほしい。できれば汚したら買ってほしいですね……」