若葉竜也、民放連ドラ『アンメット』出演の背景と覚悟 杉咲花は「何よりも人間性が素敵」
若葉竜也が杉咲花を信頼している理由とは?
ーー三瓶を演じる上で、どのようなことを意識されているんですか? 若葉:より人間的であろうという意識はあって。こういう役をやるにあたって、やってはいけない方法っていうのが自分の中にいくつかあるのですが、それはことごとく潰しています。「三瓶だったらこれはやらないかも」と思うことは極力排除していますね。自分が「三瓶はこんな顔しないだろうな」と思うことこそやっているというか。 ーー原作では三瓶が主人公ですよね。ミヤビが主人公になることによって変わるところもあるのでしょうか? 若葉:構築はより繊細になりますよね。でも、まぁ主演の杉咲さんがなんとかしてくれると思います(笑)。 ーー(笑)。 若葉:僕の同級生にお医者さんがいて、彼は原作の『アンメット』を読んでいるんですけど、三瓶という人間は、どのお医者さんも20%くらいは持っている感覚を具現化したような人だと言っていて。お医者さんからも人気なキャラクターらしいんですよ。だから「失敗したら超叩かれるね」って言われました(笑)。 ーーすごいプレッシャーですね(笑)。主演の杉咲花さんについても聞かせてください。これまでお2人は数々の作品でご一緒されていますが、若葉さんは杉咲さんのどういうところを信頼されているのでしょうか? 若葉:女優としてももちろんですし、ものを見るセンスも素晴らしいなと思うんですけど、何よりもあの人の人間性が素敵だなと思っていて。彼女の背中を見て手を抜ける人っていないと思うんです。なぜかと言うと、同じ現場にいたらわかるんですが、誰にも見えないところで血の滲むような努力をしているから。だから現場の士気も上がるし、自分の背筋も伸びるんですよね。そういう彼女の姿勢が信頼できる理由なんだと思います。 ーーお2人の作品に対する並々ならぬ思いは観ているこちらにも伝わってきます。一方で、ドラマの公式SNSにアップされているオフショットには癒されるところもあって……(笑)。 若葉:ははは(笑)。そんなに真面目な話をすることってないんですよ。何か問題が起きたときとか、やっていて何か引っかかったことがあったときにはそういう話をしますけど、8割方くらいはたわいもない日常会話ですよ。 ーー最初に共演されたのは『おちょやん』ですよね。あれから約4年経ちますが、当時の杉咲さんと現在の杉咲さんを比較して、何か印象が変わったところはありますか? 若葉:大切にしているものは変わってないと思います。でも、昔はもうちょっと肩肘を張っていた印象があるので、よりフラットになった気はします。それは人に対してもそうで、先輩や後輩、アシスタントさんとか技術さんとか関係なく、人と向き合う姿勢がより開かれたというか。 ーー杉咲さんにも何度か取材をさせていただいたことがあるのですが、それはすごくよくわかります。 若葉:取材でもとても緊張されるみたいですよ。何を話せば伝わるのか、どうすれば伝えられるのか、どんな言葉で伝えられるのか。シュチュエーションを考えるみたいです。 ーーそうなんですか!? それは驚きです……。 若葉:そんな人なかなかいないですから(笑)。映画の撮影だろうとドラマの撮影だろうとCMだろうと取材だろうと、彼女は全部とてつもないレベルでやってしまうということなんですよね。「そりゃ常人にはたどり着けないわ」と思いますよね。 ーー今回、若葉さんにとっては久しぶりの連続ドラマ出演ということで、世間的により注目を浴びるようになると思います。『アンメット』以降の連続ドラマへの出演の可能性はどうなんでしょうか? 若葉:うーん……どうかな。僕は決して仕事ファーストな人間ではないので、そもそも俳優をこの先続けるのかどうか(笑)。俳優を続けるにしても自分が本当に面白いと思うものとかやりたいと思うものだけをやっていない未来は、ちょっと想像したくないですよね。自分が面白いと思うものに対して真摯に向き合っていれば、きっと自分が「この俳優いいな」と思える俳優像になっていると思うんです。逆にそこがブレてしまうと、“こうはなりたくなかった俳優像”になってしまうので、そこは突き詰めていきたいですね。 ーー自分が面白いと思えるかどうかが重要だと。 若葉:僕はあるときから、不必要なことは全てやめよう、自分が共鳴できない作品に参加するのはやめようと決意したんです。自分が適任だと思えないことを無理してやって辛くなる必要性なんかないなって。自分にはそれがあってる。この期間では準備しきれないというスケジュール的な面でお断りするものもあったりして。でもその結果、いまこうやって面白い作品にたくさんめぐり会えているので、このスタンスは変わらず続けていきたいですね。
宮川翔