MLBで検討中の「ゴールデン・アットバット」に非難の嵐も、頭ごなしには否定できない?【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第144回
ゴールデン・アットバットも、打順の妙を無視する案にも思えますが、"盛り上がり"という点で、もしかしたら今以上の興奮をもたらしてくれるかもしれない。野球の魅力を高め、さらに多くのファンを獲得する可能性もあるのです。 私個人の懸念点は、ひとりの打者が抜きん出ているチームだと、その選手がゴールデン・アットバットで打席に立っても申告敬遠されてしまうのではないか、ということです。ドジャースのような強打者がたくさんいるチームなら、とても効果的だと思いますが......。オールスターなどの祭典で導入する分には、盛り上がりそうだなと思いました。 2017年に申告敬遠が導入されたときも一部で抵抗があったそうですが、現在、そのルールに意を唱える人は(私の周りには)いません。結果的に、投手の肩を守るというメリットが大きかったからでしょう。 ルール導入が選手の利益になるのか、あるいは興行を目的とするのか。進化と進歩、野球は時代に合わせて変化を遂げてきました。それだからこそ、人気スポーツとして生き残ってきたのでしょう。 野球を愛するからこそ出てきた意見であり、議論が起こることが前提。そのことを理解した上で、しっかりと野球の未来を見据えることができたらいいですね。 ちなみに現時点では、ゴールデン・アットバットの採用はあまり現実的でないということですが、みんなが議論するのはいいこと。多くの人が野球の未来に興味を持つ、と考えると成功だったのかも。 それではまた来週。 構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作