メガ3行の決算好調、見通し上方修正 みずほは16年ぶり自己株取得
Miho Uranaka [東京 14日 ロイター] - 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループの大手銀行3グループは14日、そろって2025年3月期通期の連結純利益見通しを上方修正した。3社合計の純利益見通しは、過去最高を更新する予定だった従来予想を12.7%上回る3兆7300億円。日銀の利上げや政策保有株の売却が利益を押し上げる。業績が好調な中、みずほFGは16年ぶりの自己株取得を公表した。 MUFGは、通期の連結純利益見通しを従来予想の1兆5000億円から1兆7500億円(前期比17.4%増)に引き上げた。IBESがまとめたアナリスト14人のコンセンサス予想平均値1兆6620億円を上回った。 三井住友FGとみずほもそれぞれ通期純利益見通しを、1兆1600億円(同20.5%増)、8200億円(同20.7%増)に上方修正した。三井住友FGの中島達社長は会見で「非常に好調な決算」と総括した上で、政策株売却と為替の円安の影響で利益はげたを履いているが、それを除いた実力値ベースでも業容が拡大している、と評価した。 <政策保有株の売却が利益押し上げ、利上げ効果も> 加速する政策保有株の売却が業績に大きく貢献している。 SMFGは政策株の売却について、計画の倍のペースで削減が進んだとして今回新たに24年からの5カ年で6000億円削減する目標を公表した。これにより簿価残高は、SMBC設立時から累積で9割超が削減されることになる。中島社長は「長く取り組んできた政策株の削減はいよいよ最終局面を迎えつつある」との見方を示した。 MUFGもトヨタ自動車やホンダなどの政策株を売却。未売却の売却合意残高は4360億円となっている。24─26年度に3500億円分を削減する計画だったが、売却目標金額を倍増して7000億円とし、今中計期間中に保有残高を半減させる方針を新たに示した。 MUFGの亀澤宏規社長は決算を振り返り、金利高と円安の追い風はあったもののベースとしての稼ぐ力が増しているとして、「相応の数字が出せた」と話す。 MUFGは、日銀による7月の政策金利の引き上げで、年間350億円のプラスの影響を見込む。亀澤社長は、今後日銀が25ベーシスポイント(bp)の利上げを実施した場合、年間約1000億円程度のプラス影響を期待できるとして、「金利のある世界では口座の数や預金の額が生きる世界になるので、しっかり対応していく」と述べた。 中期経営計画の最終年度目標については、初年度での達成を目指して通期業績を上方修正、今後、中期経営計画の見直しも検討するという。 <自己株取得、成長投資と株主還元の「新しいステージに」> 3社とも、好調な業績を踏まえて株主還元を強化するための自社株買いの再開や取得枠の拡大を公表した。 みずほFGは、08年以来16年ぶりに自己株取得を再開。1000億円を上限に取得する。年間配当も130円に増額し、木原正裕社長は、「成長投資と株主還元を強化する新しいステージに入った」と述べた。今後も機動的に自己株取得を検討する。 みずほFGは長く資本の充実を図ってきたが、コスト構造を変革するなどし、資本水準が改善。24年9月末のCET1比率(普通株式等Tier1比率、完全実施ベース)は11.2%となっている。 SMFGは、自己株取得を年間2500億円に引き上げた。取得額は過去最高となる。MUFGも3000億円を上限とする追加の自己株取得を決議し、年間4000億円とした。