加熱不足疑い牛レバー返礼品に 大分・中津ふるさと納税、別の同社製品で問題も扱い継続
ただ、同社製品を巡っては昨年以降、問題が相次いでいた。大分県によると、昨年6月に同社の「鶏レバーハム」を食べた消費者が体調不良を訴え、保健所の調査でサルモネラ属菌と糞便系大腸菌群を検出。回収命令などを出した。今年7月にも鶏レバーハムを食べた人が体調不良を訴え、再び回収命令を出した。
中津市によると、鶏レバーはふるさと納税の返礼品に含まれていなかったという。市の担当者は「鶏レバーの問題は把握していたが、牛レバーは命令の対象外だったので扱い続けた。(対応が)適切かどうか個人では回答できない」と語った。
牛レバーの加熱について、近畿大の芦田久教授(食品微生物)は「業者は生食感を出そうと47度で加熱したのかもしれないが、47度では殺菌にならず、むしろ微生物が増殖する可能性がある」と指摘。鶏レバーの問題後も返礼品に牛レバーを扱い続けた市の対応には「安全性を考えれば、牛レバーも(返礼品から)外すべきだったのではないか」と述べた。
■「あかんやつ」販売、経営者逮捕も
牛レバーの生食が食品衛生法で禁じられたのは平成23年、焼き肉チェーン店で腸管出血性大腸菌O(オー)111に汚染された牛のユッケを食べた5人が死亡した集団食中毒事件がきっかけだ。ただ、生レバーを求める消費者もおり、水面下で提供する飲食店が後を絶たない。
厚生労働省は集団食中毒事件の後、ユッケについては表面を加熱するなどの規格基準を設定。一方で生レバーは加熱以外に肝臓内部の殺菌が不可能なため、24年7月から提供が禁止された。
一方で生レバーは根強い人気があり、その後も一部の飲食店で「裏メニュー」などとして提供。経営者らが摘発される事件が相次いでいる。
30年10月、客に加熱を指示せず生レバーを提供した疑いで、京都市内の焼き肉店経営者が逮捕された。店ではメニューに「あかんやつ」と表記して販売していたという。
令和元年9月にも、常連客らに生レバーを提供したとして、大阪府摂津市の居酒屋経営者が書類送検された。「お客さんの要望で(生レバーの)提供を始めた」などと供述していた。(堀口明里)