加熱不足疑い牛レバー返礼品に 大分・中津ふるさと納税、別の同社製品で問題も扱い継続
牛レバーを基準通りに加熱処理せず「まるで牛レバ刺し」などと称して製造・販売したとして、食品衛生法違反の疑いで大分県中津市の食肉加工会社の社長らが京都府警に逮捕された。「法律の通り加熱している」などと容疑を否認するが、工場では基準を大幅に下回る温度設定の加熱器が見つかった。同社を巡っては鶏レバーで体調不良者が相次ぎながら、地元の中津市がふるさと納税の返礼品に牛レバーを扱い続けており、専門家は市の対応を疑問視する。 【写真】逮捕された「Meフードシステム」社長の枡田治基容疑者 ■1億円売り上げの人気商品 《生レバーの風味をそのまま再現した画期的なハム加工商品です》 20日に逮捕された枡田治基(ますだ・はるき)容疑者(66)が社長を務める食肉加工会社「Meフードシステム」のホームページ。「牛レバーハム」(税込み819円)について、加熱による安全性とともにこうアピールする。府警によると、昨年度は約32万個(約1億円)を売り上げる人気商品で、全国各地に出荷された。 牛レバーは過去の集団食中毒事件をきっかけに食品衛生法の規格基準が改正され、平成24年7月から生食が禁止に。一方で加熱用の販売・提供は認められ、その場合は中心部を63度で30分以上加熱することなどを加工業者に義務づけている。 ■ふるさと納税返礼品に 府警は今年1月、「京都市伏見区の飲食チェーンで生レバーが提供されている」との情報提供を受けて捜査。肉を鑑定した結果、加熱処理のない「生肉」と判断された。枡田容疑者は逮捕後も容疑を否認しているが、同社の工場では「47度で40分間」に設定された加熱器が見つかった。肉は約50~60度で変色するといい、捜査幹部は「見た目が変わらないギリギリの温度を狙って加熱していたのでは」と話す。 同社の商品は地元の中津市も令和2年からふるさと納税の返礼品として採用しており、20日の逮捕の一報とともに対応に追われた。市は同社商品を返礼品のサイトから全て削除するとともに、受け付けも停止した。 ■専門家「むしろ微生物増殖」