子どもの将来を考えると理系のほうが安定して稼げるのでしょうか? 学費とあわせて考えるとどちらがよいですか?
子どもの進路を考えるとき、やりたいことをやらせてあげたいという気持ちと同時に、将来の生活に困らない選択をしてほしいと考えるのが正直な親心ではないでしょうか。一方で、学費の負担の大小も無視できない問題でしょう。 本記事では、理系と文系ではどちらのほうが将来安定して稼げるのか、学費はどちらのほうが高いのかにスポットを当て、調査データなどをもとに解説します。
理系出身者のほうが所得が高い傾向が見られる
独立行政法人経済産業研究所が公開している「理系出身者と文系出身者の年収比較」の分析結果によると、大卒以上の就業者の仕事からの収入(年収)は、理系出身者と文系出身者でそれぞれ図表1のようになっています。
独立行政法人経済産業研究所「理系出身者と文系出身者の年収比較」より筆者作成 図表1の分析結果から、理系出身者のほうが文系出身者よりも高い年収を稼ぐ傾向があると言えるでしょう。 また、本調査では、正規労働者の比率、役職者の比率、所得格差のいずれも理系出身者のほうが高いという結果が出ており、収入の安定性の面でも理系のほうが勝っていると言えそうです。 厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果に示された職業別の平均年収を見ても、理系出身者が就業することが多い機械技術者・金属技術者・化学技術者・建築技術者・ソフトウェア作成者などの技術者の基本給は、軒並み平均30万円台後半から40万円超です。 一方で、事務従事者や販売店員など理系の技能や資格が必要ない職業では、20万円台後半~30万円台前半の職業が多く見られます。 もちろん、文系の大学に入ったあとに理転して理系の職種に就業する道もありますが、逆のパターンと比べると難易度は高くなります。はじめから理系の大学を選択したほうが、職業選択の幅は広がるでしょう。
理系と文系の大学の学費はどのくらい違う?
将来の収入が高くても、学費などのコストが高ければトータルでは損になるのでは? と考える人もいるでしょう。理系の大学を出るためには、文系の大学を出るのと比べて多くの費用がかかるのでしょうか。 本項では大学の学費に着目して、私立大学、国公立大学にそれぞれ進学した場合の平均的な費用を、理系・文系で比較してみましょう。 ◆私立大学進学時の学費の比較 文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の初年度納付金(授業料、入学料、施設設備費)のおおよその平均額は、図表2のとおりです。