驚きのリノベーション! あの芝パークホテルが大胆に知的に変身していた!! 今年の夏は、歴史のあるホテルで1500冊の本と過ごす休日を!
ホテルの新しい楽しみ方!
読書は旅のようだ。日常から離れ、新しい世界を知る。東京都心のホテルで図書館のように書物に囲まれ、知的好奇心を満たしながら過ごすステイが話題になっている。 【写真10枚】本好きはぜひ! ホテルの新しい楽しみ方 芝パークホテルのリノベーション写真を見る ◆館内のいたるところに本が…… 徳川家の菩提寺であり、浄土宗では京都の知恩院と並び称されるほどの隆盛を誇った東京・芝の増上寺には、かつて数多くの壇林(僧侶の教育機関)と学寮があった。芝パークホテルはそうした学寮の跡地に位置している。2020年のリニューアルにあたってライブラリーホテルとしてブランディングされたのも、こうした土地の歴史に負うところが大きい。 銀座蔦屋書店のスタッフがディレクションし、さまざまなテーマに合わせてセレクト。ホテルのラウンジ、階段スペース、バンケット、さらには6つの客室フロアに置かれた本は約1500冊に達する。取り扱いに留意しなければいけない貴重なものは一部で、ほとんどの書物を自由に読むことができる。各スペースにソファやテーブルが置かれているが、部屋に持ち帰っての読書もOK。どれを選んでいいか多すぎて迷うようであれば、ホテルのオフィシャルサイトの「おもてなしコンシェルジュのおすすめ本」を参照したい。本好きなスタッフによるわかりやすい解説コラムが、頼もしいエスコート役となるはずだ。また、羽田とのアクセスの良さで外国人観光客の利用も多いことから、日本の歴史・文化に関する洋書もかなり揃えており、ジャパンツーリズムへの関心を駆り立てている。 ◆本をテーマにしたイベントも開催 ただ本を館内に置くだけでない。より立体的な試みも行われている。たとえば昨年のクリスマスには家庭でいらなくなった本の提供を呼びかけ、集まった約5000冊のうち、3750冊を使ってふたつのブックツリーをつくった。クリスマス後に本は売却、その収益はアジアやアフリカの貧困地域の教育のために寄付された。また「職人ものがたり」と銘打ち、季節ごとに日本各地の伝統工芸の展示とそれに類する本も並べるなど、職人文化の発信にも積極的だ。 紙による出版の危機が叫ばれて久しい。確かに年を追って漸減する売り上げは業界の厳しさを表している。ただ活字はその名の通り「活きた文字」。表紙の美しさを愛で、指でページをめくり、鼻で微かな紙の匂いを嗅ぐ。電子書籍にはない体感性は、読書がインナートリップであることをあらためて教えてくれる。ホテルに籠っての読書三昧は、かつて僧侶たちの知の殿堂だったこの地にふさわしい贅沢な休暇になるに違いない。 文=酒向充英(KATANA) 写真=植田 翔 (ENGINE2024年5月号)
ENGINE編集部
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