「まさか海自の船とは」…黒煙を上げる掃海艇に島民ら「夜から朝にかけて燃え続けていた」
10日午前9時50分頃、福岡県宗像市の大島北方約2・3キロを航行する海上自衛隊の掃海艇「うくしま」(全長54メートル、排水量510トン)から、「エンジンルームから火災が発生し、1人取り残されている」と第7管区海上保安本部に通報があった。海自と海保が消火活動を行い、出火から約14時間半後の11日午前0時すぎに鎮火した。乗組員1人の所在が確認できておらず、捜索が続いている。 【写真】白煙を上げる掃海艇「うくしま」(奥)に放水する海上保安官
火災から一夜明けた11日午前、宗像市・大島沖の掃海艇が転覆した海域では、海自や海保の船が航行し、海保のダイバーが海面で作業する姿がみられた。海保の航空機や報道機関のヘリも上空を飛び交い、島周辺は物々しい雰囲気に包まれた。
一方、島民らからは漁業への影響に対する不安や、行方不明の隊員の安否を気遣う声が聞かれた。
現場が見える灯台近くの宿泊施設に泊まっていた佐賀市の自営業男性(62)は「夜から朝にかけて燃え続けていた」と振り返り、「行方が分からなくなっている隊員が早く見つかってほしい」と祈るように話した。
火災のニュースを見て、海を見渡せる展望台から現場の様子を見つめていた地元の漁業者の男性(64)は10日朝から釣り客を船に乗せて沖に出ており、黒煙を上げながら走行する掃海艇を見たという。「まさか海自の船とは思わなかった。漁業者として油が流出しないか心配だ」と表情を曇らせた。