いびきをかくと不眠になる?いびきを治す「舌トレーニング」を専門医が伝授!
友達と旅ができない、パートナーに指摘されたと、いびきに悩んでいる人の声を聞きます。いびきは、睡眠の質を低下させるのでしょうか? また、近年、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が、女性に増えているというデータもあります。SASを専門に治療する日本睡眠学会専門医の井坂奈央先生に伺います。 【写真】睡眠をサポートするアイテムまとめ
「いびき」はなぜ起こる?女性でなりやすいのは?
増田:いびきは、なぜ起こるのでしょうか? 睡眠にどのように関係しますか? 井坂先生:いびきは、睡眠中に気道が狭くなり、そこを空気が通るときに喉が振動することによって生じる音です。つまり、いびきをかくということは、気道が狭くなっている証拠なのです。 増田:なぜ、気道が狭くなるのでしょうか? 井坂先生:気道を狭くする要因は、さまざまあります。あお向けで寝ると、健康な人でも重力で舌や軟口蓋が気道を狭くしてしまいます。 そこに加えて、加齢や筋力の低下、肥満、舌が重くなる、あごが後退している、扁桃肥大がある、軟口蓋が形態的に長いことなどでも、気道が狭くなったり、舌が下がったりします。また、鼻が詰まって口呼吸になっていると、口呼吸のクセがついて、舌は下がりやすくなります。 女性の場合、小顔であごが小さいと、気道の幅が狭く、あお向けで舌が奥に行くことで気道を塞ぎます。いびきのリスクになりますね。 また、筋肉があれば、あお向けになっても、舌が上に留まっていられるので気道を塞ぎません。でも、加齢や肥満で筋肉が減って脂肪が増えると、あお向けのときに舌は下に落ち、気道を塞いでしまいます。特に、あごが小さい人は、年齢を重ねることや体重増加とともに、リスクが上がります。両親ともに、いびきをかく人は要注意です。
いびきと睡眠の質の関係は?
増田:いびきをかくと、睡眠が浅くなったり、睡眠の質に影響しますか? 井坂先生:いびきだけであれば、睡眠の質に影響はないと思います。影響を受けるのは、隣に寝ている人やパートナー。いびきがうるさくて眠れないなど、睡眠の質が落ちることがあります。 いびきで気をつけなくてはならないのは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。いびきは、SASの症状で最も多く、SASを見極めるうえでの大事なサインになります。1時間当たりの無呼吸が15回以上あって、さらに日中の眠気などのある人は、SASを疑ってもいいと思います。 【睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?】 睡眠中に呼吸が止まり、それによって日常生活にさまざまな障害を引き起こす病気です。潜在患者数は国内で約900万人とも言われています。SASのおもな症状は、いびき。いびきをかくということは、気道が狭くなっている証拠です。また、寝汗や寝相が悪い、夜中何度もトイレに起きるなどもSASに起こりやすい症状です。起床時に頭が重い、倦怠感がある、日中の眠気も重要なチェックポイントです。