エスパー伊東の引退騒動で考える 体を張ったお笑い芸人の体力の限界とは?
体を張るプロフェッショナルの「たけし軍団」
その一方で、リアクション芸のレジェンドと呼ばれている「ダチョウ倶楽部」や出川哲郎に多大な影響を与え、お笑い界に燦然と輝く歴史を刻んできたのが、「たけし軍団」である。 スーパージョッキーの「熱湯風呂」や「THEガンバルマン」を始め、師匠・ビートたけしのもと、熱い、痛い、辛い、冷たい、苦しいなどのリアクションを取り、命を掛けて体を張ってきた。 だが、そのぶん代償も大きかったようだ。 「デブキャラだった(グレート)義太夫さんは、中ジョッキに並々と注がれたガムシロップを一気飲みするなどの無茶を重ね、後に糖尿病になっている。『浅草キッド』の2人は急こう配の雪山を巨大サイコロの中に入って転がり、あやうく命を落とすところだった。水道橋博士は、これにより腰を痛め、今でも椎間板ヘルニアに悩まされている。ただ、彼らがすごいのは、こうした報いをしっかりと笑い話として“回収”しているところ。パンツ一丁にすらならない今の若手芸人は彼らの爪の垢を煎じて飲むべきでしょう」(前出の市川氏)
体当たり芸人も高齢化
そんなたけし軍団も、若手と言われるメンバーですら40代。今や50代以上が中心という高齢化が進んでいる。 しかし彼らは、体力の限界を口にするどころか、チャンスさえあれば、いつでも体を張る態勢にあるという。 「特番などで集まったときは、お互いに裸の上半身を見ながら、『年取ったなぁ』と言い合っていますが、いざ本番になるとみなさん率先して体を張っています。しかも振り、オチが計算された団体芸になっているので、敢えてこちらで演出する必要がない」(バラエティー番組の制作会社ディレクター) 世界に類を見ない超高齢化社会を迎える日本。定年を迎えても働き続ける人がこれから先は増えていくことが予想されるが、体力の限界までリアクション芸人たちは現役を続行するであろう。いつの日か、看護師に付き添われて熱湯風呂に入る彼らに期待したい。 (文責/JAPAN芸能カルチャー研究所)